先日、或るホテルのロビーの書棚で、「大統領の料理人」という本を見つけ
手に取ってみました。

クリントン元大統領からブッシュ元大統領の第1期に、ホワイトハウスの
料理長を勤めた、ウォルター・シャイプという人の回想録ですが、
料理長という立場から見た、ワシントンの人間模様、大統領家族の様子が
伺えて、たいへん興味深かったです。

解説の手嶋龍一氏も記していましたが、饗宴外交の演出者でもある
シャイブ氏の、料理というメタファーを通した人間観察眼は、実にシャープ
で、アメリカのモダンな料理を好むクリントン元大統領夫妻、
保守的な料理を好むブッシュ元大統領の対照的な性格が印象的でした。

クリントン元大統領は、ロックミュージシャンがお気に入りで、
ルー・リードやドン・ヘンリーを招いて、ホワイトハウスでよくコンサート
を開いていたそうです。

一方、ブッシュ元大統領は、メジャー・リーグのチームのオーナーであった
事もあり、大の野球好き。
連続出場のメジャーでの記録を持つカル・リプケンJr氏他を招いて頻繁に
昼食会を開いていた、というのも微笑ましいエピソードです。

日本の政治関係者に関しても、こうした文化的観点からの回顧録があると
もっと人間性や価値観が伝わり、親しみも増すのではないでしょうか。

それにしても、アメリカの政治家は、オバマ大統領もそうですが、
スポーツや文化に造詣が深い方が多いですね。

これは趣味人というよりは、国の文化的な風土が、政治だけでなく
国家のステータスを左右する重要な要素である事を良く理解している
からだ、と考えられます。