キム・ギドク
韓国のキム・ギドクという映画監督の作品をDVDで何作か観ている。昨年、「絶対の愛」という映画を映画館で観てから興味を持っていたのだ。今のところ、監督デビュー作となった「鰐」、「ワイルド・アニマル」、「春夏秋冬そして春」、「サマリア」、「うつせみ」、「弓」を観た。来月には最新作となる「ブレス」が日本で公開されるので、それもぜひ映画館で観たいと考えている。世界的な映画祭での受賞歴も豊富な彼の映画は一言で言って、とても静謐だ。台詞も少なく、主役級のキャラクターがほとんど話さないという映画も多い。出てくる人は何らかの形の弱者、もしくは敗者である。社会から逸脱した場所で生きている人々。その映像の端々に何とも形容しがたい「悲しみ」のようなものがつきまとう。愛を描いても絶望的な愛だ。暴力もリアルな痛みを伴って描かれる。そして、とても美しい風景や象徴的なモニュメント、あるいは四季を感じさせる情緒豊かな場面が物語の随所に描かれる。感情をあまり感じさせない、突き放した俯瞰的な映像である。その結果、美しく誠実な映画、という印象が残る。映画、あるいは作品作りに対して誠実なのだ。キム・ギドク自身は韓国映画界の異端児と称されているらしいのだが。静かな映画という意味では、多分に宗教的な色合いも感じられる。呪術的といってもいい。要するにどこか禍々しい雰囲気が横溢しているのだ。現実とは少しだけ時空がずれた異世界のようなイメージだ。出てくる女優もいい。はかなげで悲しみそのもののような女優だちだ。多くの男を虜にし、その人生を徹底的に破壊してしまいそうな女達だ。
とにかく、以上のような理由によってキム・ギドクは、ぼくの好きな映画監督の一人になった。
とにかく、以上のような理由によってキム・ギドクは、ぼくの好きな映画監督の一人になった。