アコギの後付けピックアップについて | アヴァンチュールギターズ・ブログ Let's go my guitar!

アコギの後付けピックアップについて

いつも当工房をご利用いただき、まことにありがとうございます。

 

またも久々の更新になってしまいましたが(毎度スミマセン…汗)今回は当工房へのお問い合わせおよびご依頼の多い「アコギの後付けピックアップ」について、改めてご説明させていただこうと思います。

アコギのピックアップは大きく分けて2種類ございます。ブリッジサドルの底面やボディ内部に貼り付けるタイプの「ピエゾ方式」のものと、サウンドホールに取り付ける「マグネティック方式」のものがございます。

 

「ピエゾ方式」のものは外見や生音を損ねないのが特徴です。「振動」を電気的に出力する方式です。サウンドはクリアでいわゆる「エレアコ」っぽい音色が特徴です。対して「マグネティック方式」はサウンドホールに取り付けるため、外見や生音に多少影響がございます。こちらはエレキギター同様「電磁誘導作用」の原理で音を出力する方式です。サウンドはピエゾに比べるとウォームで自然な響きが特徴です。

その他には「コンデンサマイク方式」など実際に「内蔵マイク」で音を拾って出力するピックアップなどもございます。マイクと言ってもレコーディング時によく行うような「ボディの前にマイクを設置して音を拾う」音には適いませんが、自然な響きが特徴です。ただ、ハウリングを起こしやすいという弱点があるため、大音量下での使用には不向きです。更には上記のピックアップを2種類ミックスして出力するようなピックアップもございます。

 

上記のピックアップにはそれぞれ「パッシブ方式(電池不要)」と「アクティブ方式(要電池)」のものがございます。パッシブは電池不要で本体価格も安いです。しかしアクティブに比べると出力が弱く、比較的ノイズも多めなのが弱点です。この点に関してはアクティブの方が断然高性能です。更に、これらのピックアップで得た音を「そのまま出力(プリアンプやアンプで最終的な音作りを行う)する」のか、「内蔵プリアンプを搭載して、それを通して出力する」のかという選択肢もございます。

どのメーカーのどのピックアップもほとんどのアコースティックギターに取り付けることができるような設計になっていますが、ギターの機種によっては取り付けができる機種が制限される場合もございます(サウンドホールが無いギターやアジャスタブルサドルのギターなど)。

 

以上のように、アコギのピックアップにはとにかくいろんな選択肢があり、どれを選ぶかは「好み」と「予算」で決めることになります。当工房では実際にサウンドが聞き比べできる「サンプルギター」を常設しておりますので、お悩みの際は是非お気軽にご試奏いただければと思います。

ピックアップの値段は「ピンキリ」です。5000円以下の安価なものから、50000円以上するような高級モデルまで様々なものがございます。正直な感想を申し上げますと「値段」と「音色」は「比例」するものではないようです。それぞれ個性がありますので、やはり「お好み」という話になってきます。取り付け工賃は機種によって変わりますが「5000円~15000円」くらいです。

 

実際に当工房にて近年人気があるのは、サウンドホール取り付け式の「マグネティック方式」のピックアップです。この取り付け方式のマグネティックタイプのピックアップ自体は50年以上前から存在しますが、昔のものはその構造上「エレキギターの音色と似てしまう」のが弱点でした。しかし近年のものはちゃんと「アコギ」の音がします。比べものにならないくらい高性能になっています。

取り付け工賃もアンダーサドルタイプよりも安く、機種によっては「気軽に取り外しができる」のも魅力です。上の写真のLRバッグス社の「M1アクティブ」は当店一番人気のピックアップです。値段も手頃で音も良く、ボリュームコントロールも可能で、電池交換や取り外しも簡単です。ちなみにM1アクティブを搭載した場合の料金は、本体と工賃を合わせて「36500円(税込み)」になります。だいたいこのあたりの価格帯のものが人気です。

 

予算を抑えたい方は同じくサウンドホール取り付け式のパッシブタイプが人気があります。写真はフィッシュマン社の「NEO-Dシングル」というモデルで、本体価格が凄く安い割に、アクティブタイプには劣るもののノイズも少なめで素直な良い音がします。

本来はピックアップ本体から数メートルのシールドケーブルが直接のびていて、それをアンプなどに差し込むという、ちょっと不格好な仕様になっているのですが(安いので仕方ありません)、エンドピンジャックを別途用意して配線をしなおせば、下の写真のようにサウンドホールからケーブルを出さずに上位機種と同じようにボディエンドから出力する事ができるようになります。ちなみにこの場合の料金は、ピックアップ本体とエンドピンジャック、工賃を合わせて「16200円(税込み)」となります。

以上のように、アコギの後付けピックアップには多くの選択肢がございます。予算や音色のお好みに合わせたご提案をさせていただきますので、お悩みの方はどうぞ遠慮無くご相談下さいませ。

 

 

●最後にお客様にお願いとお詫びです。今までも何度もお話しさせていただいているのですが、当工房には全国各地からとても多くの作業のご依頼をいただいております。しかしながら、実際に作業を行うのは我々夫婦二人のみで一切の外注はしないため、どうしても作業処理力に限界があり、お預かり期間が長くなってしまいます。本当に申し訳ございませんが、オーダーメイドや修理も内容によってはかなりの期間お待たせしてしまう場合もございます。

 

ここ数年は慢性的に混雑しており、オーダーメイドのバックオーダーも常に10本ほどある状態が続いております。そのため今現在、オーダーメイド、修理ともに「納期にかなりの余裕を見ていただける方」のみお引き受けさせていただく状況になっております。簡単な修理や調整でしたらもちろんすぐ完了できますが、オーダーメイドや塗装を伴う修理などに関しては「お急ぎの場合」や「具体的な納期日指定あり」のご依頼には残念ながら対応できません。

 

「じっくり丁寧に」「なるべく安い作業料金で」「夫婦二人で」という当工房のスタイルを気に入っていただきご利用いただいているお客様方々のためにも、コンセプトは変えられません。もちろん納期短縮のための努力は続けますので、何卒ご了承いただけたら幸いです。引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。

 

アヴァンチュールギターズ 川越