もし、あなたが

     部屋の壁に

       小さな「穴」を見つけたら・・・ 

 

 監督・脚本: 深川栄洋『狼少女』

     脚本:小沼雄一


 出演: 西島英俊   粟田 麗


      木下あゆ美 キムラ緑子 

      北村有起哉 

      田中哲司  利重 剛 他

 

 原作: 山本亜紀子「穴」



メモ 古都、鎌倉、切通し。そこを過ぎたところにある、古いアパートで

   ひとりの売れない作家、真木栗勉が小説を書いている。

   あるとき、書けるはずのない官能小説の依頼が舞い込む。

   真木栗が書けずに悩んでいると、ひょんな事から、部屋の壁に

   小さな「穴」を見つける。

   その穴の発見とともに、穴から見える隣の部屋に女が引っ越して来た。

   真木栗は、取り憑かれように、その穴から覗いた世界を小説

   として書き始める。やがてそれは現実となり、幻想との区別の

   つかない怪しい世界へと、のめりこんで行くのだった・・・   


○ 渋谷ユーロスペース

   上映が終わり、フロアに出てくるミズキとトキオ。


トキオ「(ミズキを顔を覗き込んで) あれ? 目がハートですけど?」

ミズキ「い、いけない・・・私とした事が・・・(顔を膨らませる)」

トキオ「ははん、そういう事ですか」

ミズキ「何さ」

トキオ「西島くんが、タイプですか」

ミズキ「・・・ふん・・・(はにかみ)」

トキオ「なあんだー!なんだ、なんだ、俺、もっと悪の強い、竹内力みたいのが

    好きなのかなーなんて」

ミズキ「なんでリキやねん!」

トキオ「結構、普通じゃないすかー。ハハハハハ」

ミズキ「・・・いつぞやの、広末の仕返しか・・・(小声で)」

トキオ「ミズキさんも、意外と普通の女っすね」

ミズキ「くそー。そうさよ、私はねえ、ああいう、駄目男で優男が大好物なんだよ!」

トキオ「なーるほど(満面の笑み)じゃあ、この映画、フルコ-スだったでしょ」


ミズキ「た、確かにさ、映画としては好きなテイストだし。西島君のお茶目なところも

    出ていて意外と満足だよ!」

トキオ「えー、でも、彼はコミカル、へたじゃないすか?やらされた感が

    滲み出てますよー」

ミズキ「うるさいなあ。いいんだよ。あれは絶対に監督の指示に決まってんだから。

    完全に演出されてると思うよ。わざとバランス崩してんだよ!」

トキオ「なんでそこまで言い切る・・・」

ミズキ「この、深川栄洋監督。若いのにすごいな。この夢とうつつの世界を、 

    ユーモアとエロティシズムで、厭味なく表現できててさあ。

    弱冠32歳だよ。あんた。どうすんの?」

トキオ「・・・一緒にすんの、やめてくださいよ・・・監督じゃないんですから」

    エレベーター前で、ボタンを押すトキオ。並ぶミズキ。


ミズキ「粟田麗の役の描き方も、儚くて綺麗だった。

     また、あの薄幸そうな顔がエロティックだわ」

トキオ「足も綺麗でしたね~ 」

ミズキ「だよね。すっと、手を伸ばしたくならなかった?」

トキオ「・・・なります(ちょい恥ずかしげ)」

ミズキ「だろうとも。女の私でもそう思ったから。ご安心を」

トキオ「いや、この映画、前半から次第にホラーのようになって、

    内容にのめり込んできて・・・、気が付くと、

    真木栗と一緒に「穴」を覗いている感覚になっちゃて」

ミズキ「鎌倉、切りとおし、築40年のアパート、万年筆、原稿、窓から入る光、

    そして・・・穴。 昭和モダンな感じが心地よかったな」

チーン。エレベータ到着。

     乗り込む二人。


○エレベーターの中

  なんとなく上をむいている二人。

ミズキ「そういえばさ」

トキオ「はい?」

ミズキ「今日はこけなかったね。段差のあるユーロスペースなのに」

トキオ「アハ、そうでしょう。学習しました」

ミズキ「初めて会った時のこけっぷり。最高だったなあ(笑)」

トキオ「・・・今思うと・・・あのとき、こけて良かったと思いますよ・・・」

  

    二人きりのエレベーターの中で、なんとなく目があう二人でした。。。


つづく