遺(のこ)す歌…
一人の人間の赤裸々な人生の中から生み出された
珠玉(しゅぎょく)の詩
その詩に、だれが曲を付けたのか知られていない。。
作曲者不詳(ふしょう)の魂(たましい)を揺(ゆ)るがす賛美歌
未来に伝えていきたい曲とするのは いなか道の思い込みでしょうか…
曲の題名は…
「アメージング・グレース」(驚くべき恵み)
ここに簡単に この曲のあらましと、
作詞者のジョン・ニュートンについてご紹介します。
1.作詞は奴隷船の船長
ゴスペルソングの中でも特に親しまれている歌ですが、この歌には
ドラマティックな物語が秘められています。
黒人奴隷(どれい)たちによって、自分たちの救いの歌として
歌い継がれてきたこの曲の作詞者ジョン・ニュートン(1725~1807)は、
もとは奴隷船の船長でした。
ところが数奇な運命をたどり、最後はイギリスで牧師になったのです。
2.ジョン・ニュートンの半生
地中海航路の船長の息子として、ロンドンで生まれ、
母はジョンが牧師(ぼくし)になることを願って3歳から教育をし、
4歳で聖書や賛美歌などを、6歳からラテン語教えました。
でも、その母を7歳前に亡くし、11歳から父の職業を継(つ)ぎ
船員になりました。
ジョンが22歳の時、イギリスに帰る船上で嵐(あらし)に
遭遇(そうぐう)しました。
母を亡くしてから宗教心も忘れ、キリスト教の信仰を馬鹿にし、
放縦な生活をしていました。
しかし生命の危険を感じるほどの激しい嵐に遭(あ)い、
心の底から、はじめて神に救いを求めました。
その後も、奴隷船の船長をし奴隷の売買を続けていましたが、
次第に良心が目覚め、30歳には船長をやめました。
1764年ジョンが39歳の時、小さい町の牧師になり、16年後ロンドンの
大きな教会の牧師として26年間過ごしました。
3.歌詞に込められた思い
Amazing Graceの1番の歌詞にある「wretch」(レッチ)は、
「無頼漢、ろくでなし」という意味ですが、奴隷商人だった
ジョン自身の姿を表しています。
ところが、黒人奴隷たちは
「a wretch like me = ろくでなしのような、悲惨(ひさん)な自分」の
歌詞の部分を自分のことだと受け止め、
神を信じさえすれば、自分のように取るに足らない者でも救われると解釈し、
ひそかに歌い継(つ)いでいったのでした。
それも低い声で、呟(つぶや)くようにように、アカペラで。
なぜなら、彼らには楽器を使うことを禁止されていたために、
無伴奏で歌うしかなかったからでした。
声高(こわだか)に歌えるようになったのは、ここ数十年のことなのです。
「㈱ヤマハミュージックメディア2003年12月7日発行『The Gospel』より抜粋」
(ジョン・ニュートン〈1725~1807〉)
「牧師になって、神と人のために尽くす人生を送ってほしい」と願う
母の思いとは、次第(しだい)にかけ離れていき、悪事に手を染め、
やがては、人身売買(じんしんばいばい)、奴隷商人にまで
堕落(だらく)した人生を送っていたジョンですが、
命の危険を感じ、死を予感するあらしに遭遇し、
初めて、心の底から「神さま、助けてください!」と祈り叫びました。
やがて、そんな半生に終止符を打ち、牧師になったジョン。
その時、わが子への「牧師になってほしい」という母の願いは実現し、
以後、多くの人を神に導き、人々のために尽くしました。
しかし、生涯、自分がどんな悲惨な人間だったかとの思いを忘れることなく
こんな自分をも、赦(ゆる)し救われた神の愛を語り続けたのでした。
そのような中から生まれた詩「アメージング・グレース」
今も、最も愛され歌い継がれてる賛美歌として、多くの人に
慰めと勇気を与え続けています。
この詩に、こんなにも美しい曲を付けてくれた人。。
その名前は、永遠に知られることはありません。
Il Divo - Amazing Grace
IlDivoVEVOさんが公開しました。(2009/10/24)
「アメイジング・グレース」和訳歌詞
アメイジング・グレース なんと素晴(すば)らしい言葉だろう
わたしのような愚(おろ)かな人間も救ってくれた
自分を見失っていた時期もあったが今は大丈夫
見えなくなっていたものも今は見える
心が恐怖(きょうふ)に支配されている時、神の恵みを知った
神の恵みがわたしを恐怖から救い出してくれた
神の恵みを知った瞬間のなんと素晴らしかったことか
初めて信じたあの瞬間
たくさんの危機(きき)や誘惑(ゆうわく)の罠(わな)を
わたしたちはいつも乗り越えてきた
神の恵みはこれまでわたしたちを守ってくれた
これからも神の恵みがわたしたちを導(みちび)くでしょう
わたしたちは何万年経(た)っても
太陽のように明るく輝き
神を褒(ほ)め称(たた)える歌を歌うだろう
初めて歌ったその時よりも
初めて歌ったその時よりも
(洋楽歌詞を和訳じゃ。すてぃまろ軒)から