私と彼の出会いは9年前。

アメリカだった。

とあるセミナーをお互いに受けにきていて、

広大な大地の中、

あるホテルの会場で出会った。

その当時私は、他の人に片思いで、

彼を追いかけてここまできて来ていたのだ。

何という行動力!笑笑


しかし、

温暖な昼下がり、

ホテルの芝生の上でフラれる結果となった。

惨敗。

なんと悲しいことだろう…

ここまで飛行機13時間と

往復チケット代まで払って…


あまり頭が追いつかない。

その時彼が声をかけて来た。

「どしたん?」

「フラれちゃったんだよね…」

私は困ったふうに答えた。

次の瞬間、

私の腕を引っ張り、大きな身体で抱きしめられ、

一言囁いた。

「よく頑張ったな」


涙が出た。

くそぅ、泣くつもりなんかなかったのに!!!

それが彼と私の出会い。。。。。





日本に帰って来てから、普通の日常が始まった。

私はこんなことを考えていた。

何事もなかったようにまた生活をしているが、

果たしてアメリカまで行った意味があったのか?

フラれる、お金もかかる、

何も形に出来てないじゃん!!!

もう無理。大金使ってしかもフラれたなんて、

恥ずかしくて親にも言えない。


気付いたら仕事の帰り道、彼に電話していた。

電話に出る早々、私は

「死にたい!もう無理。

頑張ってアメリカまで行ったのに

こんな現実は嫌だ!!!」


「ちょ、ちょいまち!何があった?

ちょっと落ち着けって!大丈夫やって!

なんとでもなる!俺がついてるけん!

なんとでもなる!」


そこから彼とはすぐにうちとけ、仲良くなった。

「なんであの時電話してきたん?」

「んーわかんない。

でもフラれたとき何も言わず抱きしめてくれたでしょ?

だから、急に頭に浮かんだの。

気付いたら電話してた」


そんな話もできるようになっていた。


そこから家族以上に仲良くなった。

心を許し、

1番繊細な領域まで入ってきた初めての

男性になった。

お互いに1番の親友と言いあえるようになった。

たまに喧嘩をしては、私が自己嫌悪に陥り、

「もうめんどくさいでしょ?

離れていってもいいよ」

と言っても

「絶対に離れへん」

と答えてきた。

それを繰り返していくうちに、

どんな形でも、どんな風になっても、

一生大親友でいられる。

そんな風に感じていた。

おじいちゃん、おばあちゃんになったときを

描けた初めての人だった。


そのくらい、

彼の隣は居心地が良かったんだ。