サラダバーはなぜ儲かる? ファミレス朝食バイキングに学ぶ、ビジネスチャンスのつかみ方 | Tomorrow never knows

Tomorrow never knows

自分に向けた意見を書いてみようかと思っています。
自分の備忘録もかねるので意味不明な事も充分あり得ます。

 今年に入り、野菜の値段が高騰している。2月9日付読売新聞によると、特に東海地方の主な青果卸売市場では、白菜やホウレンソウなどが前年に比べ1~3割高く、低温や雨不足により野菜の生育が遅れ、供給不足が長引いているのが原因とのことだ。
 
 自宅で調理し内食をする人が増えているなか、家計に少なからぬ影響を受ける人も多いはずだ。値段の上がった野菜を敬遠し、野菜を食べなくなってしまっては、栄養バランス的にもよくないだろう。

 そんななか、独身から家族連れ、高齢者まで幅広い層の間で、ファミレスチェーンが提供する「朝食サラダバイキング」が密かに人気を集めているという。朝食サラダバイキングは、種類も比較的豊富で栄養バランスもよい。料金が心配だが、たとえばココスやジョナサンなどでは、手ごろで安く食べられる(一部店舗を除く)。

 今回、2つのファミレスチェーン店で、実際に朝食サラダバイキングを利用するとともに、低価格で人気のサービスを提供する、店側の取り組みやメリットを探ってみた。

 まずはジョナサンの「モーニングビュッフェエクスプレス」。

 提供時間は6:00~11:00で(一部店舗は異なる)、サラダバイキングにドリンクバーがついてたったの500円。しかも、数種類の野菜、つけもの、梅干し、焼き海苔、ご飯やスープ、3種類のパンもすべて食べ放題だ。

 さらに魚や卵料理がついたメニューもある。和風メニューでは魚料理や和風ハンバーグがつき、料金は720円。卵料理&ソーセージつきは、料金650円(実施店は限定され、提供される料理は店舗によって異なる)。

 続いて、ココスの朝食バイキングは野菜だけでなく、豊富な料理もついている。

 大井町店では、野菜サラダ数種類にソーセージ、焼き魚、魚フライ、卵、焼きそばやパスタ、味噌汁、スープ、カレーにご飯、納豆、味付け海苔、焼き立てパン、ご飯、デザートにドリンクバーまでついている。パンは、クロワッサンやライ麦パン等、毎日お店で丁寧に焼きあげているから、うまい。これだけついて850円。料金やメニューは店舗によって違い、大人ひとりで699円や799円の店が多い。


朝食サラダバイキングは、コスト削減効果バツグン!?

 それにしてもなぜチェーン店側は、これほどバリエーション豊かで、ボリューム満点のメニューを、低価格で提供できるのだろうか? その秘訣を探ってみよう。

1.廃棄野菜=無駄なコストがほぼ生まれない。

 スーパーなどの店頭で販売される野菜は、姿カタチのよいものだけが並ぶため、裏では多くの廃棄野菜が生まれている。

 いっぽう、ファミレスチェーンで料理して提供される野菜は姿カタチの関係なく、不揃いの野菜でも味に影響がなければ提供することができるので、無駄が少ない。さらに、大手のファミレスチェーンは、直接自社で農業を展開し栽培しているため、生産量をコントロールすることでコストを可能なかぎり抑え、その分、低価格を実現することができるのだ。

2.バイキングでは固定したメニューを設定する必要がないため、その日に安く入荷した野菜を使用することができる。

 バイキング方式のメリットは、提供するメニューを毎日変更できる点だ。野菜の市場価格が日々変動する中、その日安く手に入れられる野菜を選んで入荷し、提供することができる。

3.お客が自分で食べ物を取りに行くので、フロアスタッフの人件費を削減できる。

 飲食店の店舗運営コストで、最も大きいもののひとつは人件費。バイキング方式では、お客が食べ物を取りに行き、好きなものを選んで自分のテーブルに運ぶため、少ないフロアスタッフで対応することができる。

 このように、ファミレスチェーン側にも大きなメリットをもたらす「朝食サラダバイキング」を、チェーン側も積極的に活用していこうとしている模様だ。都心の場合、深夜営業の店舗も多く、午後から夜にかけて混み合い、入店待ちのお客で入り口が賑わうケースも多い。

 いっぽう、平日朝はお客の少ない時間帯であり、集客が大きな課題となっているが、朝食バイキングは、この時間帯のお客獲得手段として有効といえる。独身層やシニア層にとっても、手ごろな価格でたくさんの野菜が食べられるメリットは大きく、同時にファミレスチェーン側にとっても、大きなビジネスチャンスなのだ。

 ジョナサンのある店舗の集客状況を見ると、土日はファミリー客や夫婦連れ、シニア層も多く、それなりに集客できている。しかし、平日は客の入りは少なく、天候が悪い日の朝はそれに拍車がかかる。この時間帯の客層にはビジネスパーソンのひとり客やシニア層の割合が高いが、固定客はまだまだ少ない。

 こうした層を平日の固定客として取り込み、週間トータルで店舗全体の集客を増やすために、朝食サラダバイキングがカギを握っているのだ。

<ビジネスポイント>

・他社が抱えるジレンマ、デメリット(=スーパーの廃棄野菜、商品/メニューの固定化)を解消するサービス(=バイキング)が、自社にとってのビジネスチャンスになる!
・毎日一番安いコスト、原材料費で実現できる商品/サービスを開発する!
・お客にとっても(=好きなものを好きなだけ安価で得られる)、自社にとっても(=人件費削減)メリットのあるサービスを見つける!
(文=富田眞司/CSN企画代表、恵比寿企画塾塾長)