8月16日(金)
みなさま
ごまー
今日アマゾンから届いた↓
渡辺美里の新作アルバムとダニー・マッキャスリンの前作アルバム。
渡辺美里のアルバムは惰性で買っています。
昔は好きでしたが、最近のアルバムは聴いてもあまり心に響かないというか…
参加ミュージシャンのクレジットを見ても、私ら世代が知る名前はほとんどないですし。
けど今回のアルバムは昔からのファンがハッとする曲もあって、なかなか良かったです。
ラストの曲「すきのその先へ」がそうで、聴いてて感慨を覚えます。
そうなんです、30年前の曲「すき」のアンサーソングになってるんです。
作詞・作曲が大江千里、編曲は有賀啓雄。この名前を見たら何だかホッとするね。
さて、今日はアリスセイラーさんのライブに行ってきました。
場所は京都市伏見区にあるアニーズカフェ。
色んな形態(ソロだったりバンドだったり、また歌だったり楽器だったり)で活動するアリスさんですが…
今日はなんと新ユニットでの初ライブでした!
新ユニット、しかも「実験音楽やります。」とツイートしてはったので、期待に胸を膨らませていました。
どんな実験音楽なのか? 現代音楽みたいな小難しいことをするのか? 全く想像が付きません。
発振器とかややこしそうなエレクトロニクス機材をごじゃごじゃ並べてやるのかな?と思ったら…
ステージにはぬいぐるみが2体のみ!?
アリスさんはぬいぐるみを置いている台に隠れるようにしてスタンバイ。
因みにこのぬいぐるみは人が喋ると体を揺らしながら真似て喋るという玩具です。
この2体のぬいぐるみが本日のアリスさんの機材です。
いや、失礼しましたっ! 機材ではなく彼らこそが新ユニットの…
“chorusPurses”です!
この台の裏にマイクが仕込まれていて、アリスさんが喋った言葉をUSAちゃんが真似て喋ります。
するとそのUSAちゃんの言葉をHUMちゃんが拾って同じように喋ります。
そしたらHUMちゃんの言葉をまたUSAちゃんが真似て喋り、またHUMちゃんが…(以下略)
このピンポンを繰り返すうちに雑音も混じって音声が団子状態になりだんだんカオス状態になって…
収拾がつかなくなったところで、アリスさんが2体のぬいぐるみを引っ込めてリセット。
仕切り直してアリスさんが喋り、それをUSAちゃんが真似て、またそれをHUMちゃんが真似て…
と、簡単に説明すればこのような仕組みです。
USAちゃん、HUMちゃんのピンポンミス等によって意図せぬ方向に展開していったり、
最初は言葉として聞き取れていたのに、次第に言語を離れ音響と化していく様が実に面白い!
さらにエフェクターを使ってノイジーに加工され、想像を絶する音へと変化していきます。
しかめ面の現代音楽とは違い、可愛くて笑えて誰もが楽しめるパフォーマンスなのが素晴らしいです。
お喋りするぬいぐるみをこのように使うアリスさんの着眼点というか、アイデアに感服いたします。
凄くユニークなので何とか皆さまにも見て頂きたいです! YouTubeに動画が上がればいいのに。
あと、対バンの三浦モトムさんも素晴らしかった!!!!
モジュラーシンセのソロで、凄まじい音と光の饗宴は異次元空間へとトリップさせてくれました。
開演前からステージに置かれていたケーブルだらけの機材が気になって気になって…
手ブレ写真ですみません。
ジャンルとしてはノイズになるのでしょうか?
しかしハーシュノイズのような垂れ流しではなく、かなりコントロールされて洗練された音でした。
音と光の動きがリンクしていて、どういう仕組みかさっぱり分かりませんが、見事で圧倒されました!
音と光といえば、コンセプトは全く異なりますが蛍光灯のノイズを操る伊藤篤宏さんを想起しました。
まさに三浦さんはエレクトロアコースティック音楽の新たな地平を切り開く逸材と言えるでしょう。
近いパフォーマンスのライブ動画がありました↓
コントロールされて洗練された音ですが…
終盤に行くに従いだんだん激しくなり、遂にはハーシュノイズと化します。
では、CDレビューのお時間です。
今日は、実験音楽ということで…
スティーヴ・ライヒの「カム・アウト」という曲を紹介します。
スティーヴ・ライヒ 他 『スティーヴ・ライヒ:初期作品集(1965~1972)』
皆さまはミニマル・ミュージックという音楽をご存知でしょうか?
「カエルさん、ミニマルって知ってる?」
しりませんのだ。
あはははは…
訊いた私が悪かった。
ミニマル・ミュージックとは、同じフレーズを同時に鳴らし、一方を少しずつずらしていくことでモアレのように新たな響きやリズムが発生し変化していくという音楽です。これを「漸次的位相変移プロセス(gradual phase shifting process)」というそうです。まぁ難しい話はどーでもよくて、このCDを聴けば一発でどういうものかが分かります。ミニマル音楽を代表する作曲家、スティーヴ・ライヒ(1936-)の初期作品を集めたCDです。
アリスさんのchorusPursesのライブを観てすぐに思い浮かべたのが、ライヒのミニマル作品第1号である「イッツ・ゴナ・レイン」(1965)、そしてその次に作られた「カム・アウト」(1966)です。ミニマル音楽の原点ともいえる作品で、楽器は使わず、人の話し声をテープに録音したものを使っています。楽器や歌ではなく、人の話し声(言葉)を素材にしている点では、アリスさんのchorusPursesと共通しています。
「カム・アウト」では、暴動事件での警察の実力行使に対する黒人少年の言葉「I had to open the bruise blood come out to show them.」が使われています。その「come out to show them」の部分を切り取ってループにし、2台のテープレコーダーで同時に再生しますが、一方だけの回転数を微妙に変えることで少しずつずれていきます。最初は「カムアウトゥショウゼムカムアウトゥショウゼム…」と普通に言葉として聞き取れたのが、次第に「カムカムショウショウカムカムショウショウ…」と聞こえてきたりして、それは万華鏡のように絶えず変化していきます。
黒人少年の言葉というポリティカルなメッセージ性をおびた素材は、漸次的位相変移プロセスによって本来の意味が完全に抜け落ちて音響へと変容する。この言葉から音響へ変わっていくというのもchorusPursesと共通する点です。作曲者の意図とは無関係に、予期せぬ音、リズム、うねり(グルーヴと言ってもいいかも…)が次から次へと誕生しては変化し、消えたかと思えばまた新たな音に気付く。この「カム・アウト」と「イッツ・ゴナ・レイン」はテープによる演奏でしたが、それを楽器、生身の奏者に置き換えたのが「ピアノ・フェイズ」(1967)であり、「クラッピング・ミュージック」(1972)となります。
こちらはオリジナルではなくカヴァーですが、スコアの動画が面白いので…
以上はライヒ/ミニマルの初期作品であって、とりわけ「イッツ・ゴナ・レイン」「カム・アウト」の2曲に関しては習作的な面もあるので、もっと芸術的発展を遂げたその後の作品も聴かれることをお勧めします。ミニマル音楽の1つの到達点/完成形である「18人の音楽家のための音楽」(1976)や、パット・メセニーの為に書かれた「エレクトリック・カウンターポイント」(1989)あたりは特にお薦めです。
以上です。
まー。
■先月(7月)の収穫
ナーニア 『デザート・ランド』
猪居亜美 『メドゥーサ』
ファジー・ダック 『ファジー・ダック』
アンビシャス・ラヴァーズ 『グリード』
トム・スコット 『ハニーサックル・ブリーズ』
MUTILATORS 『SHE PUT THE BABY IN THE MICROWAVE!』(CD-R)
ウインド 『モーニング』
オーネット・コールマン 『未踏峰』
ゲイリー・トーマス 『パリアズ・パリア』
チコ・ハミルトン 『ブルー・サンズ』
ザ・フー 『ライヴ・アット・ザ・リーズ~25周年エディション』
エヴァネッセンス 『ザ・オープン・ドア』
ディサソシエイト 『シンボルズ、シグナルズ・アンド・ノイズ』
The Soil Bleeds Black 『May the blood of many a valiant knight be avenged』
KALTERIT 『Blackground』
THURISAZ 『THE CIMMERIAN YEARS』
ノア・クレシェフスキー 『ザ・テープ・ミュージック・オブ・ノア・クレシェフスキー 1971-1992』
ソフト・マシーン 『グライズ』(DVD+CD)
チャラン・ポ・ランタン 『いい過去どり』(CD+Blu-ray)
ユウキネン 『ファー・ビヨンド・ザ・セヴン・シーズ』
TOTAL RUSAK 『THE BLEEDING STUMP』
おU 『おU』
QUATERMASS 『QUATERMASS』
清水末寿メレンゲ 『ホット・ケーキ・ミックス』
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