ここに引っ越す前、山の一軒家に住んでいた。窓から珍しい野鳥や動物がよく見られ、それだけで心の豊かさを感じていた。
滅多に車の通らない道路の崖に、毎年夏至の時期になると白から黄に変わる蔓性の花が垂れ下がり、広い範囲に咲いていた。そこで車を止め春の柔らかい日差しを浴びながら、名前も知らない花と香りを妻と二人で楽しんだ。
その花の名前を知ったのは数年後だった。忍冬(ニンドウ又はスイカズラ)・・・冬の寒さにも忍耐し、葉が枯れず落ちないことから忍冬と書くらしい。
妻の性格は忍冬とは程遠く、私を騙し陰で遊んでいた。それがバレると家出をする、そんなことを数回繰り返し離婚した。
一人目の妻はもっと酷かった。借金までして遊び、高価な貴金属を買いローン返済できなくなり逃亡、その尻拭いに苦労した。二人とも再婚を望んだが私は断った。一人目の妻には私の転居先が絶対バレないようにしていたのだが、facebookで私を探し友達申請が届いている。当然無視し情報は与えてない。
20代はドライブ・海・山・お茶を飲む女友達が5人位いたが、忙しく結婚する気がなかったので深入りしなかった。あの頃遊んだ友達は今どうしているだろうか。幸せに暮らしている女性もいれば、一生独身で過ごしている女性もいると遠い風の噂で聞く。他の女性たちはどうしているだろうか。
忍冬のような女性・・・そんな女性もいた。遠い帰らない日の思い出は美しく哀しい。
「忍冬」
詩:曲:杉本真人、歌:因幡晃
だっていつかこじれて 駄目になるより
恋の匂いさせずに そばにいたいわ
たまに逢ってこうして飲めるだけでも
女として少しは 夢があるでしょ……
失くせない ひとだから
つづける ひと幕 友達芝居 だけど
忍ぶという字は 難しい
心に刃(やいば)を乗せるのね
時々心がいたむのは
刃(やいば)が暴れるせいなのね
もっと楽な生き方 してもいいのに
なぜかわざと淋しい道をえらぶの
今日は今日の傷みが胸をしめても
ひとり席を立つまで泣きはしないわ……
ばかなのね 古いのね
死ぬまで ひそかに 愛するなんて だけど
いとしい花なら 忍冬(すいかずら)
夏でも秋でも春の日も
どうしてわたしのいとしさは
忍ぶという字がつきまとう
忍ぶという字は 難しい
心に刃(やいば)を乗せるのね
時々心がいたむのは
刃(やいば)が暴れるせいなのね
Lai Lai Lai……
Lai Lai Lai……