ジョーン・バエズが歌った反戦歌ドナドナは、世界的ヒットで多くの歌手に歌われました。NHKの「みんなのうた」、あるいは小学校の音楽の教科書にも掲載されたので誰でも知っている歌です。
御存じの方もおられるでしょうが、牧場から売られて行く子牛を思う悲しい歌で、この歌には隠された意味があり、その作者は詩人イツハク・カツェネルソンという説が有力のようです。
イツハク・カツェネルソンは1886年生まれ。ポーランドのウッジでユダヤ人学校の教師を努めるとともに、多くの歌や戯曲を書き、ユダヤ人の闘争団体とも密接な関係にあったそうです。1942年に妻と二人の息子がアウシュビッツへ強制移住させられ、彼はその印象をこの歌に託し、その後カツェネルソン自身も強制移住させられ、妻子と同様に44年にアウシュビッツで死亡したとのことです。
当時ナチスへの反戦的詩など書けるはずもなく、彼は妻と子供が連行される悲しみを牛に喩えたのが真相のようです。
私はこの歌をイスラエルで聴いたことがあります。主人は治療師で奥さんは童話作家の家でボランティアをやっていました。ハーブ畑を開墾していたのだが、治療師の主人は早朝私に家の仕事を指示し外出することが多く、深夜に帰って来る。それからピアノを弾き始め、私はこのピアノの音で目を覚ますのが常だった。
「一日中働き、深夜にピアノを弾くなんてすごいスタミナだね。」と尋ねると本人も疲れて無意識に指が勝手に動いているのだと言う。
ある日ハイファに外国から合唱団が来るから一緒に行かないかと声がかかったので喜んでお供した。その時聴いた中の一曲がイデッシュ語のドナドナだった。帰りに車を運転しながら「ドナドナという歌の意味を知っているか」と訪ねてきた。「ええあれは牛ではなくナチスに連れて行かれる子供を牛に喩えたのですね」と答えると彼はうなずきそれ以上話さなかったし、歌の重さを知ってる私も聞かなかった。
彼はユダヤ系ロシア人でロシアのユダヤ人村に住んでいた、”屋根の上のバイオリン弾き”と言った感じの村だろうか。ある日ナチスが攻めて来て皆殺しにされるという噂が流れたが、村人は信用せず彼の家族だけが逃げたので生き伸びた。キリスト教徒には反ユダヤ主義者が少なくないのだが、あるバブテスト系のクリスチャン家族がかくまってくれ助かったらしい。
イスラエル、アウシュビッツ、ウッジ、ロシアなどを放浪し、各地に思い出がある私には、この歌を聴くと秘められた悲しみが伝わってくる。
屋根の上のバイオリン弾き
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