日本基準とIFRSsのコンバージェンスによる影響について | アベイルブログ

日本基準とIFRSsのコンバージェンスによる影響について

企業会計基準委員会(ASBJ)と国際会計基準審議会(IASB)は日本基準と国際財務報告基準(IFRSs)とのコンバージェンスを加速する取組み(「東京合意」)の公表後、初めて会合をおこなったことをそれぞれのHP上で公表した。


ASBJ:http://www.asb.or.jp/html/press_release/overseas/pressrelease_20071002.pdf

IASB:http://www.iasb.org/News/Press+Releases/ASBJ+and+IASB+make+continued+progress+towards+goal+of+convergence+in+accounting+standards+by+2011.htm


このプレスリリースは2008年までにそれぞれの基準間の重要な差異を解消し、2011年までに日本基準とIFRSsをほぼ同等のものにする取り組みを継続的におこなっていくという内容のもの。


世界中の会計基準はIASBが作成しているIFRSsに確実に集約されていっている。

欧州連合(EU)市場においては2005年からEU域内の上場会社に対してIFRSsの採用を義務付けている。

また香港、シンガポールではIFRSsとほぼ相違ない基準を採用しており、IFRSsを自国の基準に実質的に取り込んでいる中国などがあり、さらには韓国、カナダ、インドでは2011年からIFRSs導入を表明している。


あの自国の基準がもっともすぐれていると自信満々だったアメリカも、数多くの企業不祥事を踏まえIFRSsの受け入れると公表しており、当然日本においても冒頭に述べたようにほぼ受け入れることを公表している。


最近のASBJの新基準はほとんどがこのコンバージェンスを達成するためのものである。

実務対応報告第18号「連結財務諸表作成における在外子会社の会計処理に関する当面の取扱い」

会計基準第8号「ストック・オプション等に関する会計基準」

会計基準第9号「棚卸資産の評価に関する会計基準」

まだ基準とはなっていないものでは

「工事契約に関する会計基準(案)」

「セグメント情報等の開示に関する会計基準(案)」

「資産除却債務の会計処理」(論点整理)

等など


この中で当面企業にとって頭を悩ませることになりそうなのが「連結財務諸表作成における在外子会社の会計処理に関する当面の取扱い」である。

現状、多くの会社は海外子会社の現地国での基準で作成された決算書に基づいて連結財務諸表を作成しているが、この基準が適用されるとそうはいかなくなる。

実務対応報告第18号によると、2008年4月1日以降開始する連結会計年度より原則として海外子会社の現地基準で作成された決算書を日本基準に修正しなければならなくなる。

当面の取り扱いとしてUS基準またはIFRS基準で作成されたものであれば連結に利用できるとされているが、この場合には「のれんの償却」や「研究開発費の支出時費用処理」など6つの項目については当期純利益が適切に計上されるよう修正しなければならないとされている。


通常、海外子会社の決算書は主に海外の会計事務所(監査法人含む)により個別の監査が実施されているケースがほとんどと考えられる。

いきなり海外の子会社や監査人に今期から日本基準で作成・監査してくれといってもおそらく無理だろうから多くのケースでは米国基準かIFRSsで作成・監査してくれとお願いするしかない。

それにはまず、海外子会社ではどこの基準(米国基準かIFRSsかそれ以外か)を採用しているか調査し、米国基準またはIFRSsならば連結パッケージに修正6項目の追加・監査をお願いしなければならない。仮にそれ以外の基準だと子会社・監査人に十分説明をおこない、2008年4月1日以後開始事業年度に間に合うよう米国基準またはIFRSsで作成・監査してくれとネゴしておく必要がある。


実際、日経の記事で世界各国に子会社展開している某新興企業の連結チームが「準備に間に合わない」と悲鳴をあげているというのがあったが、ほかにJ-SOX、棚卸基準、リース基準、四半期報告制度など2009年4月1日以後開始事業年度の基準が多いことから、これから少なくとも一年は関係者にとってつらい時期となりそうだ。