『デタッチメント 優しい無関心』映画鑑賞。主人公は臨時教員。素行や成績の悪い生徒の集まる高校を短い期間で働いては、また次の学校へと赴任していく。ある高校へいつものように着任した主人公。情熱があるのかないのか、空虚でただ淡々としてるのか、ちょっとよくわからない風情である。臨時教員という立場から生徒たちとは深入りしないようにしている主人公だが、学校で会う生徒や教師、バスの中で売春をしているティーンエイジャーと関わるうちに、主人公の存在は周りの人々に少なからず影響を与え始め、そしてそれが主人公自身の内面へも影響をもたらすこととなる。主人公や周囲の人物達の日常や主人公とある生徒の記憶のフラッシュバックや、線画によるアニメーションなども効果的に使いながら、ストーリーは静かに進行していくが、終盤である出来事が起こってしまう。この映画は教育の荒廃を描いているが、むしろそれはおそらくこの映画の本質的なテーマではなく、喜びや哀しみ、楽しいことや辛いことといった誰もが抱えながらも表現できないでいる、あるいは表現すべき相手がいない我々自身の物語と言ってよい。淡々と静かに進行する映画であり山場はそれほどない。しかし、確実に心に余韻を残す素晴らしい映画。うさぎくんが今年に入って観た映画に中でもベスト3にいれてもいいくらいの出来栄え。お薦め。