『海の上のバルコニー』映画鑑賞。主人公は不動産会社に勤めている。裕福な暮らしをしており、妻と幼い娘がいる。ある日、大きな邸宅の不動産売買に同行した主人公は、相手方の不動産会社の女性が淡い恋心を抱いていた幼馴染であることに気付く。主人公は今はフランスにいるが、幼い頃はフランスの支配下にあったアルジェリアに住んでたことがある。その女性はアルジェリアにいたころに近所に住んでいた女性である。その女性と懇ろになる主人公だが、女性の素性にある疑惑を抱かざるを得なくなってしまう。果たしてこの女性は何者か。大掛かりな不動産売買、主人公と女性の幼少時の思い出、アルジェリアの独立運動、といった複数のテーマが重層的に折り重なり、事態は静かにしかし緊張感を孕みつつ進行していくこととなる。丁寧な構成と抑えた演出が光る、上質なミステリーの佳作。お薦め。