『パレードへようこそ』映画鑑賞 | うさぎくんのお薦め映画ブログ

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『パレードへようこそ』映画鑑賞。この映画は実話に基づいている。1984年6月30日。ロンドン。この日は「ゲイ プライド」というゲイの大規模なパレードが催された。ゲイに対する差別は今よりもさらにひどかった時代だ。同時に、不況にあえぎストライキを敢行している炭鉱夫への募金活動もこのパレードで行われた。差別こそされていないものの不遇をかこつ炭鉱夫に援助の手を差し伸べようじゃないかと。主人公は20歳の男性。ゲイだが、誰にも言えず人知れず悩んでいた様子だ。逡巡しながらもパレードに参加するが、否応もなく「レズビアンとゲイの炭鉱夫支援会(LGSM)」の創設メンバーとなってしまう。何で炭鉱夫の支援なんかするんだ、と「レズビアンとゲイの会」のメンバーの一部は参加をせず、一枚岩とは言えないスタートだ。そして、なかなか募金活動はうまくいかない。そこである炭鉱町に電話しスト中の炭鉱夫の代表者と会う。驚きをみせながら、ためらいながらも感謝の弁をLGSMのみんなに伝える炭鉱夫。

「大きな敵を相手に苦しい戦いを続けてきて、めげそうになったときも、どこかに見知らぬ友がいて、応援してくれている。なによりの支えです」と。


この後、偏見を持つ人や主義主張や立場の異なる様々な人々との関係の在りようが展開されていく。性的マイノリティに対する偏見との闘いや不況にあえぐ炭鉱の町(この時期のイギリスでは不況だったのは炭鉱だけではなかっただろうが)といった深刻なテーマを扱いながらも、決してユーモアと前向きな心を忘れないこの映画は、いかにもイギリス映画といった感じである。何度も憤ったり、笑わせたり、ほろっとさせながら、人間の紐帯や矜持(この映画の原題は『Pride』)とは何かを考えさせる作品である。いやー、とにかく素晴らしい映画。あらゆる人に薦めたい。レズやゲイの人、ストレートの人、そしてまだどちらか決めていない人に!