『孤独のススメ』映画鑑賞。オランダの田園地帯。主人公は初老の男。ひとり暮らし。敬虔なクリスチャン。単調な生活を送る毎日。そんな主人公の家にある日、どこからともなく迷い込んできた言葉もろくに話さず、素性も分からない男が現れる。何者かは序盤では全く分からない。その男とひょんなことで同居することになり、主人公の生活はにわかに変化することになる。主人公の家には妻と息子の写真がある。妻子はどうなったのかは終盤になるまでわからないが、主人公が喪失した過去の出来事は同居人に次々と投影されていくことになる。ストーリーは予想もしない展開を次々と遂げ、主人公は偏見に遭い、これまでの信じてきたことや守ってきたことを疑い始め、新たな自分を発見し、そして過去の呪縛から逃れようとする。息子はなぜ主人公のもとを去ったのか。最愛の妻はどうなったのか。どんな思いを夫に託したのか。すべてが明らかになるラストのシークエンス、そこで歌われる「This is my Life」の曲調と歌詞とが絶妙な効果をもたらし、素晴らしいカタルシスへと我々をいざなうこととなる。とてもいい映画です。お薦め。