『わたしの 青春、台湾』


台湾の国会議事堂を占拠した「ひまわり学生運動」の中心人物である陳為廷と、運動に参加した大陸からの留学生蔡博芸の2人を運動からその後まで追うドキュメンタリー。


描かれるのは、運動が高まっていき、前者が「神」になっていく姿とその後のスキャンダルによる落日、運動で高まるナショナリズムの「国民主義」と「民主主義」の2つの顔に翻弄される後者の挫折。

陳腐な言い草だが、苦い後味を残すが故に過去形と不可分な「青春」を銘打ったのだろう。


活動が、運動が必ず人間によってなされるということ、故に切ったら血が出るだけでなく、汚く醜い部分があることを、たった6年後の2020年にこのように映画にできていることは、「民主主義の、何かを変えることの、そして人間の難しさ」という李琴美の評を前提にしながら、それでも希望あるものだと思う。

運動のあった2014年は台湾民主化(戒厳令解除)の1987年から27年後であり、日本にとっての1945年から1969年とほとんど同じ時間感覚であるはずなのだから。





「安全と危険の間には隙間がある。でも、隙間の大きさを探ろうとしない」(陳為廷)