『ラブストーリーズ』


夫婦が拗れて元鞘に戻るまでを、両側の視点から描く2本セット。


カリカリして家でも職場でも当たり散らす男と、突然全て投げ出す女と。

上手くいかないのは当たり前という風情から、子供の夭逝というきっかけが後出しで明かされ中年の悩みの掴みどころなさが表現されるのはかなりストレートで、一本一本が特段面白い映画というわけではない。


ただ、同じ期間を2人の視点から日本の映画にするというアイデアはしっかり活かせていて、つまり、夫婦喧嘩や仲直りでの互いの回想に「どんな発言がきっかけだったか」、「どちらが先に謝ったか」などの齟齬があり、他人の人生を他人の視点で覗き見ているというリアリティの深度が保たれている。

このゾッとする感じを楽しむために映画を2本見られるのか、その辺りの好みは分かれそう。