『シェルブールの雨傘』
ミュージカル映画の祖。
なるほど確かにストーリーは薄くとも楽しめる。
愛を誓い合う若い男女。アルジェリア戦争で男が兵役に取られ、結局それぞれ別の相手と結婚することになる。時が経って子も生まれたあとふと再会するが、少し話してそのまま互いの家族の元に帰っていく。
出征→復員ものの骨格だけを取り出したような筋で、それ自体について掘り下げるべきところは何もない。
けれど、鮮やかな傘屋の店内に恋で盲目な浮かれた16歳の女の子が歌っていれば、それは世界が正しいということで。
そしてそこから大袈裟に悲しむよりしっとりする復員のくだりまで歌い続ける雰囲気づくりがサボらない良さ。
いい気分の映画。