前回の記事で中米と比較した中国の経済成長の勢いについて説明したが、後者がどれだけ前者を凌駕したかは明確だ。その中国はご存知の通り、輸出主導の経済発展政策を成功させており、例えば縫製製品の対米輸出では中米に惨敗を喫した国だ。中米にとっては縫製製品は輸出品目のスター的存在なので、重要な戦いに敗れてしまった訳だが、世界を圧倒する中国を敵に回すのは当然ながら賢い戦略ではない。実際中米の貿易における中国の地位は年々急速に上がってきている。
ここでは中国の台頭を、国連ラテンアメリカ・カリブ経済委員会(ECLAC)が発表した中米各国の貿易相手国ランキングにおける位置づけで分析する。 ECLACは2000年から2008年の中米各国の貿易にとっての中国の位置づけランキングを発表しており、その期間でどれだけ中国が中米にとってますます重要な貿易相手国となっているかが伺える。また、中米にとっての中国の輸出先国としてのランキングは輸入先国のランキングより低く、これは中米の製品がどれだけ中国で競争力が低く、逆に中国製品が中米においてどれだけ高い競争力を誇っているかを反映している。
どの国にとっても中国の貿易パートナーとしての立場は大きくなっているのだが、その中でも特筆すべきはコスタリカにとってのランキングだ。と言うのも、コスタリカにとっての輸出先国としての中国は2000年には26位だったところ、2008年には2位になった。輸入に関してはコスタリカにとって中国は2000年には16番目の輸入先国だったが、2008年には3番目になった。他の中米諸国と比べると輸出、輸入とも2000年の順位はあまり高いものでなかったのだが、そのポジションからのコスタリカの飛躍は著しいものだ。
因みに2000年時点で中国に対する輸出で主導権を握っていたのはニカラグアで、中国は同国にとって19位のポジションにあった。輸入に関しては2000年時点で中国が最も高い輸入先国となっていた国はグアテマラで、同国にとっての中国のランキングは 15位だった。だがそれから状況は大きく変わり、コスタリカにとって2008年に中国が占める順位は群を抜いている。コスタリカは中国と自由貿易協定を結び近く発効されるので、両国間の貿易の深まりは、中国の他の中米諸国との貿易より一層強くなるものと思われる。
ランキングに関して更に分析すると、2008年時点で中国が輸出相手国としてのランキングが一番低くなっているのはグアテマラで、中国の順位は18位だ。輸入に関しては中国が一番低いランキングとなっているのはホンジュラスで、同国とって中国は7位だ。
中国の中米にとっての輸出先国、また輸入先国としてのランキングの違いを分析すると、唯一コスタリカにとってのみ輸出先国としてのランキングが輸入先国としてのランキングに勝っており、再度コスタリカの優秀なパフォーマンスが見受けられる。他国に関して言えばパナマにとっては何れのランキングも同じ4位となっており、それ以外の国々にとっては輸入先国としてのランキングが上だ。これらの国で特に輸入側が強いのがグアテマラで、ランキングの差は14であり、グアテマラの中国との貿易赤字の大きさが想像出来る。
中国との貿易を増やす事によって日に日に経済力を強める中国との関係を深める事は、中米の将来の展望を明るくする要素だが、中米各国は中国の輸入需要を良く研究し、対中国の輸出促進を計らなければならない。
急激な経済成長を遂げる超大国中国は、世界のどの国から見ても圧巻だが、1990年代半ばまでは中国以上の所得レベルに居た中米各国から見ても仰天させられる。そう、今となっては中米は何時の間にか中国に、国内総生産で計った人口一人当たりの所得額で越されてしまったのだ。
中米とは言ってもパナマを含めると6カ国あるので、各国で中国に越されてしまった年に相違があるし、まだ越されていない国もある。順序をたどって言えば、ニカラグアの額が一番低いので最初に越されたのだが、国際通貨基金(IMF)によれば1991年の中国の一人当たり国内総生産額は現在値でニカラグアの僅か半分だった。それが5年後の1996年には、90年代伸び悩んだニカラグアのレベルを越してしまったのだが、その年にはニカラグアの一人当たり所得額は約US$700 だった。
一人当たり所得の順でいくと次はホンジュラスになるのだが、ニカラグアとは少々額が離れているので中国が越したのは6年後の 2003年で、当時の所得の数値は約US$1,200だった。その後グアテマラに追いついたのは4年足らずの2007年だが、当時のグアテマラの所得は一人当たり約US$2,600だった。
世界の経済成長はそれ以降、今般の世界経済金融危機の為に失速するのだが、中国はあまり影響される事無く高度成長の道を歩み続けた。その結果、グアテマラを抜いてから僅か2年経った2009年には一人当たり約US$3,600の所得を持ち、近年は中南米でも特に低い経済成長率を経験しているエルサルバドルを抜いた。
2009年時点で約US$6,300、また約US$7,100を誇る、それぞれコスタリカとパナマの所得レベルを超えるのは、両国の経済成長が他の中米諸国よりも高い為にもう少し困難かと思われる。だが、中南米では比較的高い成長率であっても中国のレベルには至らないので、追い越すのも時間の問題だ。
中国にとっては中米は視界にも入っていないのだろうが、電撃的な経済成長を遂げる超大国中国は、繊維貿易で惨敗を喫した中米にとっては嫌でも参考となる国だ。最近は中米もそれを認識し、中国との競争より共存を計り始めている。その特筆すべき例は、中国と自由貿易協定を結んだコスタリカだ。
21世紀は、経済成長が目覚しいアジアの世紀と言わる。伸び悩む殆どの中米はどんどん中国を始めとするアジアとの国交を深み、アジアから成長の秘訣を学び実践し、多くの貧民の生活を改善してほしいものだ。
中米とは言ってもパナマを含めると6カ国あるので、各国で中国に越されてしまった年に相違があるし、まだ越されていない国もある。順序をたどって言えば、ニカラグアの額が一番低いので最初に越されたのだが、国際通貨基金(IMF)によれば1991年の中国の一人当たり国内総生産額は現在値でニカラグアの僅か半分だった。それが5年後の1996年には、90年代伸び悩んだニカラグアのレベルを越してしまったのだが、その年にはニカラグアの一人当たり所得額は約US$700 だった。
一人当たり所得の順でいくと次はホンジュラスになるのだが、ニカラグアとは少々額が離れているので中国が越したのは6年後の 2003年で、当時の所得の数値は約US$1,200だった。その後グアテマラに追いついたのは4年足らずの2007年だが、当時のグアテマラの所得は一人当たり約US$2,600だった。
世界の経済成長はそれ以降、今般の世界経済金融危機の為に失速するのだが、中国はあまり影響される事無く高度成長の道を歩み続けた。その結果、グアテマラを抜いてから僅か2年経った2009年には一人当たり約US$3,600の所得を持ち、近年は中南米でも特に低い経済成長率を経験しているエルサルバドルを抜いた。
2009年時点で約US$6,300、また約US$7,100を誇る、それぞれコスタリカとパナマの所得レベルを超えるのは、両国の経済成長が他の中米諸国よりも高い為にもう少し困難かと思われる。だが、中南米では比較的高い成長率であっても中国のレベルには至らないので、追い越すのも時間の問題だ。
中国にとっては中米は視界にも入っていないのだろうが、電撃的な経済成長を遂げる超大国中国は、繊維貿易で惨敗を喫した中米にとっては嫌でも参考となる国だ。最近は中米もそれを認識し、中国との競争より共存を計り始めている。その特筆すべき例は、中国と自由貿易協定を結んだコスタリカだ。
21世紀は、経済成長が目覚しいアジアの世紀と言わる。伸び悩む殆どの中米はどんどん中国を始めとするアジアとの国交を深み、アジアから成長の秘訣を学び実践し、多くの貧民の生活を改善してほしいものだ。
アメリカと自由貿易協定を交渉した中米諸国は、各国の議会による承認等の過程がまちまちな為に発効した日付に差異があるものの、2006年以降DR- CAFTA(ドミニカ共和国北中米自由貿易協定)を施行した。DR-CAFTAは一方では、アメリカへ輸入する際に輸入数量制限や原産地規則と言った非関税輸入障壁がかかる、中米諸国からの幾つかの輸入品目に対する規制を緩和した。
関税に関してはDR-CAFTA以前の対アメリカの中米域からの輸出産品の多くは、既に一般の関税率より低い税率を課するカリブ海援助構想(CBI)の恩恵を受けていた。だが、CBIは一般特恵関税制度(GSP)と呼ばれる先進国が発展途上国に対して任意的に与える特権なので、先進国であるアメリカ側は何時でも一方的に撤回する事が出来る。それに対して、DR-CAFTAはアメリカ、中米諸国、ドミニカ共和国の間の協定であり、それらの国々の間の関税が合意を下に減少された事によって、何れの国が一方的に関税を上げる可能性が低くなった。
よって、DR-CAFTAが関税に関して中米諸国にもたらした最大の利益は、アメリカへの輸入時に中米諸国からの輸出品目が課される、一般のものより既に低い関税がより恒久的に維持される様になったと言う確信だ。民間企業にとっては、貿易などの経済規制の恒久化は、投資等のビジネス計画の結果を大きく左右する仮定の一つがより確定されたものになった事、即ちリスク要素がそれだけ減った事を意味する。よって、ビジネス計画における将来の収益がそれだけ確定的に計算出来るようになったので、中米における投資を促進する結果をもたらす。よって、DR- CAFTAの関税恒久化効果は軽視するべきものではなく、DR-CAFTAは中米からアメリカへの輸出を促進し中米の経済発展に貢献する、と言うのが DR-CAFTAが発効された当初の大方の関係者の見方だった。
これらの大抵の国にとって発効から約4年が経った今では、DR- CAFTAの結果はどうだろうか。どれだけ関係諸国間の貿易、また投資を促進しただろうか。率直に言えば答えはあまり効果が無かったと言う事が言える。例えば他の中米諸国に先立って2006年3月にDR-CAFTAの発効を開始したエルサルバドルの例を取り上げ、発効前の4年と発効後の4年の対米輸出額を比べると、発行後は1.7%の減少が見られる。この減少の理由をより細かく調べると、全対米輸出額の約4分の3を占める、縫製製品を主とする加工貿易区からの輸出が15.4%減っているが為の結果である事が分かる。コスタリカとパナマ以外の他の中米各国にとっても加工貿易区からの縫製製品輸出が全対米輸出額に占める割合は同様に高く、減少幅も同じ様に大きい。
何故この様な事になったのか。原因はDR-CAFTAにあるのではなく、中国にある。と言うのも、2005年に世界貿易において縫製製品の数量制限を強いていた多国間繊維取り決めが撤廃され、繊維貿易がより自由な貿易を促す世界貿易機関(WTO)の協定に則ったものとなった。既に2001年11月からWTOの加入国となっており、縫製の世界貿易における占有率が高かった中国もこの貿易障壁が低い枠組みの下でアメリカに輸出出来るようになった。英国日刊紙のThe Guardianによると、これによって中国の対米輸出額は2004年から2009年までに243億米ドルになるまで127%増えた一方、類似製品をアメリカへ輸出する中米の輸出は19億米ドル減った。この事から分かる通り、中国の縫製製品はまさに多くの中米諸国の輸出振興政策にとって脅威なのである。
但し、上記でDR-CAFTAのパフォーマンスが乏しい理由を中国にあてつけるのは正確な分析結果とは言えなく、実際の責任の所在は当然ながら、国際競争に勝てない、生産性の低い中米諸国にある。また、これらの国々が国際競争に勝てないのなら他の輸出振興戦略を練れない事にも問題がある。縫製製品がこれ以降も輸出の主体とならかどうかと言う問題にも回答が必要だが、それ以上に中米諸国にはより長期的な成功が維持出来る戦略の作成と実施が要求される。
関税に関してはDR-CAFTA以前の対アメリカの中米域からの輸出産品の多くは、既に一般の関税率より低い税率を課するカリブ海援助構想(CBI)の恩恵を受けていた。だが、CBIは一般特恵関税制度(GSP)と呼ばれる先進国が発展途上国に対して任意的に与える特権なので、先進国であるアメリカ側は何時でも一方的に撤回する事が出来る。それに対して、DR-CAFTAはアメリカ、中米諸国、ドミニカ共和国の間の協定であり、それらの国々の間の関税が合意を下に減少された事によって、何れの国が一方的に関税を上げる可能性が低くなった。
よって、DR-CAFTAが関税に関して中米諸国にもたらした最大の利益は、アメリカへの輸入時に中米諸国からの輸出品目が課される、一般のものより既に低い関税がより恒久的に維持される様になったと言う確信だ。民間企業にとっては、貿易などの経済規制の恒久化は、投資等のビジネス計画の結果を大きく左右する仮定の一つがより確定されたものになった事、即ちリスク要素がそれだけ減った事を意味する。よって、ビジネス計画における将来の収益がそれだけ確定的に計算出来るようになったので、中米における投資を促進する結果をもたらす。よって、DR- CAFTAの関税恒久化効果は軽視するべきものではなく、DR-CAFTAは中米からアメリカへの輸出を促進し中米の経済発展に貢献する、と言うのが DR-CAFTAが発効された当初の大方の関係者の見方だった。
これらの大抵の国にとって発効から約4年が経った今では、DR- CAFTAの結果はどうだろうか。どれだけ関係諸国間の貿易、また投資を促進しただろうか。率直に言えば答えはあまり効果が無かったと言う事が言える。例えば他の中米諸国に先立って2006年3月にDR-CAFTAの発効を開始したエルサルバドルの例を取り上げ、発効前の4年と発効後の4年の対米輸出額を比べると、発行後は1.7%の減少が見られる。この減少の理由をより細かく調べると、全対米輸出額の約4分の3を占める、縫製製品を主とする加工貿易区からの輸出が15.4%減っているが為の結果である事が分かる。コスタリカとパナマ以外の他の中米各国にとっても加工貿易区からの縫製製品輸出が全対米輸出額に占める割合は同様に高く、減少幅も同じ様に大きい。
何故この様な事になったのか。原因はDR-CAFTAにあるのではなく、中国にある。と言うのも、2005年に世界貿易において縫製製品の数量制限を強いていた多国間繊維取り決めが撤廃され、繊維貿易がより自由な貿易を促す世界貿易機関(WTO)の協定に則ったものとなった。既に2001年11月からWTOの加入国となっており、縫製の世界貿易における占有率が高かった中国もこの貿易障壁が低い枠組みの下でアメリカに輸出出来るようになった。英国日刊紙のThe Guardianによると、これによって中国の対米輸出額は2004年から2009年までに243億米ドルになるまで127%増えた一方、類似製品をアメリカへ輸出する中米の輸出は19億米ドル減った。この事から分かる通り、中国の縫製製品はまさに多くの中米諸国の輸出振興政策にとって脅威なのである。
但し、上記でDR-CAFTAのパフォーマンスが乏しい理由を中国にあてつけるのは正確な分析結果とは言えなく、実際の責任の所在は当然ながら、国際競争に勝てない、生産性の低い中米諸国にある。また、これらの国々が国際競争に勝てないのなら他の輸出振興戦略を練れない事にも問題がある。縫製製品がこれ以降も輸出の主体とならかどうかと言う問題にも回答が必要だが、それ以上に中米諸国にはより長期的な成功が維持出来る戦略の作成と実施が要求される。
