ノスタルジア
原題:Nostalgia
イタリア映画祭2023 5月5日(金・祝) 18:50~
外国に住んでいたフェリーチェが故郷であるナポリの貧民街に住む母に会いに40年ぶりに帰って来たことで始まる過去と現在の物語。
フェリーチェが何故故郷を離れたのか、昔の親友に何があったのか、地元の不良の更生に取り組む神父ルイージとの出会いから語られていく。
母の現状に触れ介護の為にナポリに住むことになったフェリーチェは懐かしい街並みや母の知人、町で暴れる若者たちの姿から昔の自分と友人たちのことを思い出す。
現在の町では銃を乱射しながらバイクで暴走するような集団が幅を利かせているが、
フェリーチェも昔は親友と街中でバイクレースをするくらいの不良だった。親友オレステがどうしているか気になったフェリーチェだったが、ルイージ達から語られる
オレステ・スパジアーノは犯罪組織のボスとして住民達から恐れられる存在だった。
以下結末含むネタバレ
40年前スパジアーノはフェリーチェと空き巣に忍び込んだ際に住人と鉢合わせてしまい咄嗟に人殺しをしてしまう。フェリーチェはそれを知った叔父に有無を言わさずエジプト送りにさせられそのままナポリに帰ることはなかった。
人を殺してしまった事と、そんな自分を見捨てて逃げ去った親友への思いから道を外してしまったスパジアーノ。
見知らぬ土地エジプトで生きるために必死で働いている内にナポリでの事を考える暇もなくいつしか忘れ、その間に変わり果てた母や親友を知り失われた時間を思って地元愛に意固地になるフェリーチェ。
お互いの気持ちを吐き出し誤解は解かれるが既に遅かった。夜道でフェリーチェを刺し殺したスパジアーノは物取りの犯行に見せかけるために財布の中身を抜き取るが、そこにあったのはかつての二人の写真だった。
個人的に気になったのは小さな町とは言え事実上のボスであるスパジアーノがボロボロのアパートの一室に陣取っていたり、汚れたタンクトップや同じパーカーで過ごしているのを見るにフェリーチェと別れてから満たされない人生を送ってきたように窺える所だった。