ペルシャの幻術師を始めとして、8編からなる短編集。
モンゴル帝国を題材としたのが2編、忍びが3編、平安期の僧が2編、他1編です。
本紹介によると、幻のデビュー作という「ペルシャの幻術師」を目玉としているようです。恐るべき力を秘めた幻術師と、モンゴルの将軍との死闘、そしてその結末に至る原因を作った女性と。これらのドラマは、確かにとても引き込まれるものがあります。
ですが。
それよりも、「下請け忍者」がお勧めです。
忍者と言っても、敵陣に忍び込んで敵をばっさばっさと倒す……ということが主ではなく。上忍に使われて稼ぎを横取りされる、下忍、中忍の悲哀が描かれています。
実際、忍者は戦闘要員ではないので、そんなに強いわけではありません。忍び込んで見つかり、見張りの武士と戦っても勝てるかどうか分からない程度のものです。
フリーランスでやる忍者もいたのかも知れませんが、大多数は足軽みたいな生活してたんでしょうねぇ。
他の忍者を扱った二編、「飛び加藤」と「果心居士の幻術」では、フリーのトンデモ忍者が出てきます。
禁欲的な僧生活と、怪しい呪術にかける凄みと。僧を描いた作品も面白いです。
ただし。幻想小説のようなところがあり、実は語り手の妄想でした、という話も混じっている。
歴史小説にフィクションが入り込むのは当然だし、非日常的なシーンを描くためには必要なのかも知れないけれど、夢落ち的な話は要らないかなと思います。
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ペルシャの幻術師 (文春文庫)
(2001/02) 司馬 遼太郎 商品詳細を見る |
