吸血鬼という名前から、いろんな物が想像できます。

 神秘的なイメージを持つその姿と言えば、ダンディなおじさまか、絶世の美女。
 多分、映画の影響でしょうが。

 でも、この作品では人類に寄生する生物です。
 もっとも、そのイメージが真新しいとか斬新だというわけではありません。

 この作品の魅力は、短編の中で登場人物が一人(?)ずつ描かれて、全体の流れでそれらが絡み合い……最初の方で投げたかと思った伏線が、最後に生かされる。

 とはいえ、地球を滅ぼしかねないエイリアンが、ただの咬ませ犬と言うのはどうかと思うけど。

 人間とは違う価値観を持つ生命体から見た、人間たちの描写だとか、そこに向けられる愛だとか。
 半ば腐りかけた肉体に入ってる妹と、美しい体に乗り換えるづける妹とか。そんな対比も面白い。

 ファンタジーではなく、SFとしての吸血鬼がうまく、美しく書かれている作品だと思います。

吸血鬼エフェメラ (ハヤカワ文庫JA) 吸血鬼エフェメラ (ハヤカワ文庫JA)
(1996/08)
大原 まり子

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