わ(た)しのグラタン | 語り種 KATARIGUSA

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「世の中ニュアンス」それはマイノリティで進んでいく事

今日は小説風にタワゴト書いてみます。
結構長いので忙しい人はまた暇なときに読んでください。


先日のことである。
私はいつものようにいつ終わるかわからない仕事に没頭していた。
一息入れたとき食事をとってないことに気付きコンビニエンスストアへ向かうことにした。
空腹とは裏腹に私のおなかと相性の良さそうなものがなかなか見当たらない、、、
そこに現れたのがグラタンだった。
私はそれを手に取りレジへ向かった。
「あたためますか?」の問いに私はイントネーションがひっかかり名札を見ながら「お願いします」とうなずいた。
名札には「王」
最近東京のコンビニは本当に多くの外国人労働者で成り立っている。

別に差別ではないのだがやはり考え方の違いは大きい。
この時もそうだった、、、、

「バン!!!」

、、、、、バン?「チン」でなくて「バン」??
不思議がっているとレンジの終わりを告げる合図が「チン!」と鳴った。

次の瞬間私は目を疑った。
王くんの手にあったのは先ほどのグラタンから見違えるほど収縮した物体だった。
王くんはその物体を10本の指のしかも爪の部分だけで支え、プルプルしながら持って来た。
物体はと言うと、逃げ場がないだけに密閉された空間をグラタンだったらしき赤い液体が爆発寸前だ。
「これはいりません」
私にはこういうしかなかった。
「かえますか?」
私は驚いた。
かえますか?とはかえなかったらいらないと言った手前、金だけ払って出て行けということなのか?
「これは食べれないでしょ?」
王くんを見る私。
なぜか私を見て目をそらさない王くん。
そして二人の間のレジの上では未だに音を立てて爆発したがる元グラタン。
王くんはこちらの怒りに気付いたのか同じ商品を持って来て今度は先ほどより短い時間あたためた後、渡してくれた。

話はここでは終わらない。

私は見たのだ。
ゆっくり、慎重に、そして大胆に、、、、
王くんが10本の指の先の爪だけで支えた元グラタンを、もとの商品棚に戻すところを、、、、
元グラタンはもとの位置に戻っても元の形ではなかった、、、、、

頑張れ!!王くん!!

私はそう思いながら王くんが働く間はこのコンビニには二度と来ないことを誓ったのだった。