扉を開けると、ドリアンの匂いが飛び込んできた。

 

ここは、インドネシア、バリ島のヌサドゥア地区のスーパーマーケット。

 

大型バスが数台駐車できる大型駐車場に反比例し、店内はこじんまりとしている。

 

最大の特徴は、各商品に匂いが移ってしますほどのドリアン臭だ。

 

売り上げの90%は中国団体客の爆買いで、地元民9%、残りの1%は観光客だろうか。

 

万里の長城をシンクロさせるほどの、レジ待ち団体客の行列は、よく言えば世界遺産みたいなものか。

 

マナーのよくない爆買い客に、わたしを含む他の観光客は、世界遺産を眺めるようなまなざしで、長蛇の列を待つしかなかった。

 

スーパーマーケットは、中国観光客のドリアンが食べたいというニーズに応えるということと引き換えに、

 

他の観光客が迷惑と感じるほどのドリアン臭を漂わせていた。

 

「もはや、ココは、スーパーマーケットではなくドリアンマーケットだな。」

 

そんなことを思いながら一向に前に進まないレジで開き直っていると、

 

このドリアンマーケットの戦略を自分に応用できないかを模索してみた。

 

仮に中国総国民14億人がドリアン大好物だと仮定して、

 

世界マーケットの5人に1人を獲得したことになる。

 

同じアジアの世界人口2位のインド、4位のインドネシアも合わせると約7割のシャアを握っていることになる。

 

この数字は、わたしを含む1%の観光客のニーズなんて、応えている場合ではないな。

 

 

と、

 

 

妙に納得しまった。

 

 

数字は嘘をつかない。