こころもからだも休まる場所を作りましょう

 

 

とは、「ストレスをためないためには」といった類の記事で、ドイツでよく見聞きするフレーズです。

 

einen Rückzugsort zu schaffen

 

といいます。

 

ドイツ語を学び始めて、もう30年以上経ちます(大学から学び始めました)。

 

それでもわからない単語はまだまだあり、辞書を使うこともありますが、面倒だし、読んでいて内容がわかればそれでいいので、単語の意味に逐一こだわらなくなってしまいました。

 

しかしながら、翻訳するときには正確に訳出したい単語が出てくるのです。

 

キーになる言葉は、独和事典や独独事典、日本語の類語辞典と国語辞典などを使い、とことん考えて、もっともふさわし言葉を選びます。

 

ひと言で表現できないこともあります。そういう言葉のひとつ、

 

 

「心も体も休まる場所」

 

という言葉です。

 

これは、Rückzugsort に当てはめたい日本語訳です。小学館の独和事典にも載っていない言葉でした。

 

この、「心と体も休まる場所」があると、ちょっと疲れたときに気軽に休めて、心が落ち着くので、そういう場所を持っておく、知っておくと、ストレスがたまる前に、ストレスがたまらないよう、毎日メンテンスできると考えられています。

 

そういう場所がまだなければ作ってみましょう(これは家具屋さんの広告によくある)、あるいは探してみましょうということも薦められているのです。

 

この「心と体も休まる場所」というのは、ドイツでよく聞く言葉gemütlichな場所とは少し違うような同じのような…

 

gemütlichという言葉は、「居心地がいい」「(気分が)くつろいだ」「ゆっくりした」「(人が)のんびりした、穏やかな、人柄のよい」と、先の辞書には書かれていて、日常的に使われています。

 

そして、ドイツの人が重要視している「雰囲気」でもあります。

 

 

Rückzugsort とgemütlichな場所は同じかというと、それは微妙です、調査が必要ですと答えたい。

 

というのも、前者はひとりになりたい場所であり、後者はひとりのこともあるけれども、どちらかというと一緒にその空間を共有する人がいて生まれる感情だと定義したいからです。

 

 

ドイツで家族と一緒に生活していたとき、私の「心と体も休まる場所」はどこだったのか?

 

考えてみたところ、自分の部屋のパソコンの前でした。

 

そして、ハンドドリップで淹れたコーヒーを一口飲んだ瞬間に幸せを感じていたのでした。

 

コーヒーを飲みながらメールを読んだり、本を読んだり、考え事をしたり、ゆったりと過ごせる時間でした(よく仕事をして疲れた後に飲む、あの生ビールの一口目、とはまた違います)。

 

家族(夫と息子)は、リビングで夫は1人掛けのソファーに座ってノートパソコンでゲームしながらテレビを観、息子は3人掛けのソファーに1人で座り、お気に入りのテレビ番組を観ているときに、心も体も休まっていたんだなぁと思う。

 

でも、ふたりだから、それはgemütlichな場所じゃないのでしょうか。

 

と、早速質問を受けそうだ。そうなんです、だから両方の意味を兼ねていることもあるんだと思います。

 

もしくは、ふたりにとって落ち着く空間が同じと回答できるのが正しいかもしれません。

 

テレビをふたりで一緒に見ているようで、見ていない。いる空間だけは同じ、そして座る場所もいつも決まっているから、きっとそこが落ち着くんだと勝手に解釈しています。

 

というのも、主人は帰宅し、何もすることがなければ、こうやってす過ごし、ひとりぐらしを始めた息子が、たまに家に帰ってくると、こうやって過ごしているからです。

 

私はその輪に入らなかったのは、ずっとテレビを観ていることに耐えられないので、ひとりでいるほうが落ち着くのでした。

 

でもわざわざ「ここが私の心と体が落ち着く場所です」と、雑誌の紹介記事のためにインタヴューでも受けない限り、自分から紹介する人はいないと思います(まだ聞いたことないだけかもしれませんが)。

 

それだけプライベートな場所ともいえるでしょう。

 

ところで、

 

ドイツで、誰かの家にお邪魔し、リビングに通されて、

 

「うわぁ、すごい素敵!」

と目を輝かせながら褒めるのは普通です。

 

そこで、お茶を飲みながらゆったりできて

 

「くつろげるところですね」

 

と言うと、それが最上の誉め言葉になります。

 

 

では、そろそろまとめに入っていこうと思います。

 

ひとりでくつろぎたい時に、引っ込める場所とか、心が落ち着くことができる場所が

 

Rückzugsort 

 

なのかと今、書いていて思いました。

 

では、今の私にとって、どこがRückzugsort なのか????

 

やっぱり、パソコンの前であり、自分の勉強机の前です。

 

というのが正解のような気がします。

 

ここまでは、ドイツにいたときの生活と同じですが、日本に戻ってからまだ「ない」場所があることに気が付きました。

 

ドイツで生活していたときに、頭も心も煮詰まってきたときには、バスとかトラムとかに乗って、街中のカフェにノートとペンを持って出かけて、そこでケーキとコーヒー、もしくは、葉っぱだらけのミントティーを飲んで、いろいろ書き出して、頭の中を整理すると、すっきりして帰ることができたのです。

 

 

 

 

 

でも、今住んでいるところでは、そういうところがまだないのです。

 

頭も心も煮詰まってきたら、時間があれば立山まで行くこともありますが、遠いので気軽に気分転換でること、ということで散歩に出る機会が増えました。

 

      〔みくりが池〕

 

      〔弥陀ヶ原〕

 

 

でも、最近は暑すぎるので昼間は外にでていません。

 

その代わり、毎朝、5時頃から、立山連峰を眺めながら散歩しています。

 

これは、Rückzugsort でもgemütlichでもないけれど、散歩して気分が晴れる、一日のいい始まりの習慣になっています。

 

というか、それだけストレスが溜まってきているのかもしれません。

 

ということで、散歩以外でストレス解消できる「心も体も休まる場所」を見つけてみたいなと思いました。

 

最後まで読んでいただきありがとうございました。