おーい、兄ちゃん。
そう、声を掛けられた暑い日のこと。振り返って見ると、ペンキ屋のおじさんが困り派てた顔でいたんだ。
聞けば、軽トラックが壊れて動かないんだって。道ゆく人は結構冷たくて、普通に通り過ぎてたみたいで。おじさんと必死に車を押したけど、ビクともせず。クラッチがいかれてたみたいで、レッカー呼んだら?といって別れたんだけどさ、後からもしかして電話持ってないのかと思って引き返して。
戻ったら案の定、電話が無くて困ってたんだよ。JAF呼んだら十キロで一万掛かるって言われたので、更に困ったぞって話をしてたら、自宅の工場に連絡ついてトラックで牽引するって。
ほんと、良かった。
俺も昔、沼地で車がスタックした事があってさ。電気もない人も家もないテキサスの沼地で。だから分かるんだけど、ホントに途方に暮れるんだ。動かない車がこれ程荷物になるんだってさ。
そんな時、通りすがりの家族がたすけてくれたんだよね。泥だらけになって、全く知らない俺のために。
大した事は何もしてないけど、だから、、ほっとけなかったんだ。
帰りにかった麦茶を渡したら、喜んでくれた。くしゃくしゃの笑顔が、眩しかった。
これで、俺も少しは恩を返せたかな。あのメキシコから来た家族に。