先日、阪急京都線の茨木市駅で電車待ちをしていたら、向かいのホームに列車が入線してきました。
その列車、一見するとただの阪急電車のようにも見えますが(とくに鉄道に興味のない人にはどれも同じに見える?)、実はこれ能勢電鉄の車両1700系なのです。
ここで、能勢電鉄と言っても、阪神エリアの人くらいじゃないと、一般的にはピンとこないと思いますので、少し説明しておくと、
路線は、阪急宝塚線の川西能勢口駅を起点に妙見口駅を終着駅とする妙見線と、妙見線の途中にある山下駅を起点に日生中央駅を終着駅とする日生線の鉄道線2路線、及び妙見山に架かるケーブル(鋼索線)とリフト(索道線)からなる中小私鉄のひとつで、現在は阪急阪神東宝グループ傘下の会社となっていますが、1908年の設立時から1960年以前までは阪急電鉄の資本が多少は入っていたとはいえ、完全に独立した電鉄会社でした。
とまあ能勢電の概要をお伝えしたところで本題に戻りますが、能勢電の1700系の種車は阪急神戸線を走っていた車両2000系ですから、見た目がほぼ一緒なのも当然。
とはいえその種車が阪急の路線を走っていたのは今から約30年ほど前の話。
この車両は1991年に能勢電鉄に譲渡されたものなので、それからすでに29年もの年月が経過している訳です。
ちなみに写真の大阪梅田寄り先頭車(1754、種車は二代目2050となる宝塚線用の元2154、初代2050は1984年に起こった山陽電車との正面衝突事故で廃車)が阪急電車の新車として登場したのは、能勢電に譲渡されるさらに29年も前の1962年まで遡るわけですから、通算すると58年、人ならもうすぐ定年退職を迎えるクソジジイのサラリーマンみたいなもの。
ただ、阪急電車の車両の多くは、よく改良工事を受け、更新されながら、丁寧に使い続けられているものが多いので、少し古い車両でもいつもピカピカなので、あまり古さを感じないのですが。
さて阪急電鉄から譲渡された能勢電の車両が、なぜ阪急京都線内をウロウロしているのかって不思議に感じる方もいると思いますよね。
ふだんはそのようなことはないのですが、定期的に行われる全般検査や重要部検査などを、現在は京都線にある正雀工場が引き受けているため、検査後の試運転を今回のように京都線内で行っていたのではないかと思われます。
ちなみに1700系が能勢電に登場した際の車両のカラーリングは、オレンジベースにグリーンの帯が入り、遠めに見れば少し前までの近鉄特急みたいな雰囲気だったのですが、現在は阪急電車のマルーンカラーになっているのも、検査や塗装を正雀工場で行っているのが理由となっています。
ということで、阪急電車の路線からは姿を消して久しい車両が能勢電で老体にムチ打って頑張っている姿を見るのは、電車好きの私にとってはなによりです。
ちなみに能勢電鉄沿線には、妙見口駅からはじまる能勢妙見山やその周辺に広がる里山、また妙見の森という最大の観光地をはじめ、平野駅を最寄駅とする三ツ矢サイダー発祥の地にある三ツ矢記念館や、日生中央駅を最寄駅とする多田銀銅山悠久の館、また古刹、名所旧跡など、見処も多数ありますので、新型肺炎コロナウィルス流行が続く最中ではありますが、三密を避けるということでも、屋外の散策が中心となるこの沿線エリアはオススメだと思います。
お時間のあるかたは是非足を運んでみられてはいかがでしょうか。