胃腸炎で苦しむ私を心配する母と妹。
両親と同じマンションに住む妹は、ポカリ、コーンスープや体温計、冷えピタを自宅から持ち寄り、母はお粥を作ろうかと何回も聞きに部屋を覗く。そう広くない実家、妹と母のわたしを心配してあれをこれをあーしようと相談しているやりとりに、横槍を入れる父。ベッドで痛みに耐えながらも、そんなやり取りを聞きとてつもなく心が癒された。実家の匂い、実家の部屋、そこで聞こえる家族の声。小さい頃から知っているあれ。安全で暖かくて世界で一番安心できる場所。
私も44歳。当たり前だが、両親も年をとった。特に母は物忘れが酷くなり、同じ事を何度も聞く。
今話した内容を忘れ、また同じ事を聞く。
妹や父からは聞いていたが、予想以上だ。
自分でも自覚があり「もう70だから少し頭がボケ出した」と。忘れないように、予定をノートに書き込む母。忘れてないように、小まめに予定を思い出しては、ノートを見る母。苦労の多かった母。
息子が高校を卒業して、大学でオーストラリアを離れたら私はオーストラリアに残る意味があるのだろうか。両親の近くで必要なサポートをすることの方が、断然大切な事に思える滞在になった。白人の事など全く気にならなかった、むしろ誰が何が自分の人生にとって大切なのか、必要なのかを知る時間になった。