例えがスポーツになるが、一つの技や分野において秀でていると、日本人は「~のスペシャリスト」という言い方を好み、英語訳する時も「specialist」と表現する。だが、これは「expert(エキスパート)」の方がふさわしい場合が多い。
「specialist」も「expert」も、ある分野において秀でている人を指すが、少し意味に違いがある。
specialist:他のことはそうでもないが、一つのことに秀でている。
expert:他にも秀でていることがあるが、そのうちの一つにずば抜けている。
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野球選手に例えると:
元巨人のバントの名手、川相昌弘はレギュラーを張り攻守で活躍しながら、その中でも特にバント技術が高かったので「バントのexpert」。
1980年代の広島カープ第一次黄金期に活躍した今井譲二は代走専門で、打席に立ったり守備につくことはなかったので「足のspecialist」。
柔道に例えると:
柔道未経験者で、京大など旧帝大に入学後、その七大学の柔道部で行われている、寝技に特化した高専柔道の流れを汲む七帝柔道を始めて寝技だけ強くなった人は、「寝技のspecialist」。
東京オリンピックの柔道女子78キロ級で金メダルに輝いた濵田尚里は寝技がとても強いが、日本代表に選ばれるということは立技のレベルも高い。よって彼女は「寝技のexpert」。
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二つの単語の違いがお分かりになっただろうか?