かつて、広島カープは、創設時には他球団のように複数形の「s」を付けて広島カープスとなる予定だったらしい。ところが、大学生が「鯉は魚。そして、魚であるcarpは単複同形だから、カープスだと文法的に間違いだ。」と指摘してカープとなったようだ【こちらをクリック】。

 

 

しかしながら、英語を母国語とする私の友人達(アメリカ人、カナダ人、オーストラリア人、イギリス人)は皆「ヒロシマ・カープス」と呼ぶ。面白いのは、「では、どういうふうに鯉を数えるのか?」と尋ねると、「One carp, two carp, three carpと数えて、 "carps"とは言わない」と言って単複同形にする。でも、カープのことを話すときはカープス。「ちょっとそれはおかしいんじゃないの?」と聞くと、彼らは「選手一人一人数えるから、Sを付ける複数形にするんだ」と言う。まあ、母国語を話すのって感覚的なものだからね。語学の先生でもない限り、本人達には文法的な意識はないと思う。

 

英語を外国語として学んできて語学教師となった私が彼等の思考を文法的観点から見てみるに、魚類は基本的に単複同形だが種類を言う時は「~S」の複数形にするという規則により、「選手には各自個性があるから、一人一人を違う種類の鯉とみなしてSを付けるのだろう」と推測する。

 

この種類を言う時とは、例えば池に300匹の鯉がいたとして、全て同じ種類の鯉であれば「There are 300 carp in this pond 〔この池には(同種の)300匹の鯉がいます。〕」となる。「There are two carps.」と言うと、「(300匹いるけど)二種類の鯉です。」ということだ。

 

外国人のカープに関するユーチューブ動画のタイトルでも「カープス」となっていることが多い(↓)