オーストラリアに移り住んで二年目のこと。こちらの教員免許を取得した私は、ヴィクトリア州の田舎町の学校(中高)に採用された。

 

出勤初日に、あるオーストラリア人の先生が私のいる外国語科の職員室にやって来て、「日本人なら野球できるじゃろ?俺らのチームに入らないか?」と私に誘ってきた。「入ってもいいよ。」と返事をすると、「ポジションは?」と聞いてきたから、「サード。」と答えた。

 

「まあどうせ軟式の草野球だろう。」と思いながら、その週の練習に参加してみてビックリ!なんと、真面目に本気でやる硬式野球だった!なので、サードからファーストベースまでの距離が長い長い!

 

写真バッターボックスに立つ私。

 

しかも、その地方の各町にある全5チームでのちゃんとしたリーグがあって、みんな真剣にやっていた。高校を卒業して以来、運動らしい運動をやっていなかった私は体力、特に肩の筋肉が落ちており、球を投げると肩に痛みが走るようになっていた。、しかもサードはホットコーナー。バッターが打った硬球が凄い速さで飛んでくるんで、硬式野球の経験がない私にはとてもじゃないがサードは無理。

 

すると、監督に「セカンドやって!」と言われて、「やった!楽できる。」と思った私。

 

しかし、「楽できる」との私の考えは甘かった、、、、、 オーストラリア人には左利きが多いので、結構セカンドに打球が飛んでくるのだ。しかも、ダブルプレイでショートとの連携があったり忙しく、気が抜けない。ショートゴロのダブルプレイなんかは、私がファーストに投げなくてはならないから、肩を庇いながら、でも痛いところは見せたくないから我慢しながら投げていた。セカンドベース近くのゴロを取って、そのままベースを踏んでファーストに投げて一人ダブルプレイを取った時は、最高に気持ちが良かったね!

 

リーグ戦は、確か各チームと3試合ずつで、自チームがある町のグラウンド(本拠地)の他、週末に50km~80km離れた町の相手チームのグラウンドに遠征する、というのが3ヶ月ぐらい続いたように記憶している。一軍の試合の前には二軍の試合があって、私はたまに二軍にも駆り出されて、両試合出ることもあった。

 

シーズンを終えて、私のエラーは一つ。そのエラーは、ある試合で慣れない外野(ライト)をやらされて、フライの目測を誤ってしまったもの。だから、セカンドでの守備率は100%。

 

その功績から、シーズン後の打ち上げのとき、監督賞を貰った。「"A"Gr」というのは「 「A- Grade(Aグレード)」の略で、一軍のことだ。

 

 

最近、時々、無性にキャッチボールとかノックとかしたくなるんだよね。今度日本へ一時帰国したら、質の良い日本製のグローブを買ってこようと思っている今日この頃であった。