私の時代、学校で英語を習い始めたのは中学一年。英語の先生が、ハワイに住んでいた時のことなどを話してくれて憧れを持ち、「英語をマスターしたい!」と燃えていたことを覚えている。

 

ところが、すぐに挫折することになる。日本の学校教育で習う英語はアメリカ英語(米語)であり、その特徴は「Rを大袈裟に発音する」こと。舌を思いっきり巻き、しかし上あごにくっ付けることなしに「アー」と言う感じだ。それで、「her」や「bird」など舌を巻いてRを発音するときなど、ちゃんとしようとするとクラスメイトから「知ったげ(知ったかぶり、の意)!」とか、「気取っている」とか言われたりして、いつの間にかカタカナ発音に。当然、その後は「読めて書けるけど、会話はできない」という、典型的な日本人になってしまっていた。

 

高校卒業後は、アメリカの大学に進学するのに必要なTOEFLの得点を取るために英語(=米語)を猛勉強。アメリカ滞在中も、Rを舌を巻いてはっきり発音することに気をつけて生活していた。

 

そして、アメリカの大学を卒業後、日本に帰国。数年間働いたあと、オーストラリアの大学院で教員資格を取ることを決心し、こちらにやって来た。

 

 

こちらでの教員生活一年目のこと。ある日、中一の生徒達からこう言われた。「先生の英語は上手だけど、Rだけはアメリカ式発音じゃね!」

 

これは「car」という単語を発音したときのことで、「R」の巻き舌に注意を払ってしっかり発音したのだった。それなのに言われたことは「アメリカ人みたい(=大袈裟に発音しすぎ)」。そこで、巻き舌加減を半分以下にして、カタカナの「アー」に近い音で発音してみると、「今度は完璧!」だと誉められた。

結論
英単語の中で長音として発音する「R」は、カタカナで伸ばす時の「ー」と発音すれば余裕で通じるということ【もちろん、その母音の前の子音はちゃんと英語的に発音することが前提】。 いちいち巻き舌にする必要がないので、我々日本人にとっては豪州英語のほうが米語よりも聞き取りやすいし発音しやすい、と私は思っている。

追記
オーストラリアでも、フィリピンからの移民の子供は「R」を強く発音する傾向にある。これは、フィリピンの公用語の英語は米語であり、フィリピンで育った親の世代が、家庭で米語を話している影響である。