本日のインタビューは、イギリスのOsasis(オアシス)、Blur(ブラー)と並ぶ1990年代三大ロックバンドのひとつ、オーストラリアのEven(イーヴン)のフロントマンであるAshley Naylor(アシュリー・ネイラー)です。

【まずは彼等の曲を楽しむために、こちらをクリックしてみよう!https://www.youtube.com/watch?v=aABXSw5xmB8
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こんにちは、アシュリー。忙しい中ありがとう。

アシュリー(以下Aと略):こちらこそ、インタビューされて光栄だよ。

 

写真1インタビューはカフェで行われた
Ash

じゃあ、まず、最初に音楽に接したのはいつ?

A: 5才の時にAMラジオを聴いたのが最初だね。70年代の特集をやっていて、ACDCやLinda Ronstadt (リンダ・ロンシュタット)などが流れてた。それに、兄貴と一緒に母のレコードをよく聴いたよ。Kiss(キッス)とかABBA(アバ)とか。その後は60年代のThe Beatles(ザ・ビートルズ)、Kinks(ザ・キンクス)、The Who(ザ・フー)、とかThe Rolling Stones とかだね。【筆者より:いわゆる60年代ブリティッシュロックの四天王

今のあなたの音楽性からは、60年代の影響が濃く見られると思うけど、そういった60年代のバンドにハマったのはいつ頃だったの?

A十代半ばだった。十代初めにLed Zeppelin(レッド・ツェッペリン)にハマって、それから彼等が影響を受けたアーティスト達に遡って行った感じかな。

ルーツを辿るのは、多くの人が通る道だよね。

Aまさしくその通り!そうやっていろいろ発見するんだよね。

僕の場合、最初は日本人のロック歌手だったけど、やっぱりそこから辿って行ったんだ。
じゃあ、楽器を始めたのはいつ?


A2才上の兄がクリスマスにナイロン弦のアコースティックギターを貰ったんだけど、彼はほとんど弾かなかったから、僕が使い始めたんだ。9才の時に、学校でレッスンを受け始めた。カトリックの小学校だったから、先生は尼さんだったね。学年で言うと小学校3年生の時だ。主に、フォークやゴスペル音楽を練習した。

最初は、やっぱり難しかった?

Aいや、そうでもなかったよ。初レッスンの後に、母の職場に電話をかけて電話越しに弾いて聞かせたのを覚えているよ。レッスンで学んだ曲はRock My Soul(ロック・マイ・ソウル)とかのゴスペル音楽だった。

そうなんだ。じゃあ、エレキギターを手にしたのはいつ?

A11才の時だね。この頃から1970年代のバンドを聴き始めたんだ。11才〜12才のころはLed Zeppelin(レッド・ツェッペリン)にハマって、彼らの曲を練習した。Jimmy Page(ジミー・ペイジ)に憧れていたよ。

今、You Am I(ユー・アム・アイ)のDavey Lane(デイヴィー・レイン)と元The Pictures(ザ・ピクチャーズ)のBrett Wolfie(ブレット・ウルフィー)の三人で、Thee Marshmalow Overcoat(ジー・マシュマロ・オーバーコート)ってカバーバンドで60年代のバンドの曲をやっているけど、そういったのはいつ頃弾き始めたの?

A15才ぐらいから60年代、70年代のバンドの曲も練習し始めた。

初めてバンドを結成したのはいつ?

A1985年だ。中学三年の時に、今もEven(イーヴン)で一緒にやっているMatt Cotter(マット・コッター)とバンドを組んだ。

どんなバンドの曲をやってたの?

AClash(クラッシュ)、Hoodoo Gurus(フードゥー・グルズ)、The Who(ザ・フー)、The Kinks(ザ・キンクス)、Sex Pistols(セックス・ピストルズ)なんかだね。そのうちに、オリジナルの曲もやり始めた。パンク後に出てきたSmith(スミス)のようなギターをフィーチャーしたサウンドだった。

当時リアルタイムで活躍してたバンドにも影響を受けているんだね。

Aうん!特に、スミスとREMには、ミュージシャンとしての僕を形作っていく上でとても影響を受けているよ。

ライヴとかもしたの?

A1986年、まだ高校生の時に、ライヴをしてお金を貰うようになったんだ。
1980年代後半の大学時代には、〔後にThe Swarm(ザ・スウォーム)を一緒に結成する〕友人のダミアンと、結婚式や社交ダンスの会場で演奏も始めたよ。ヴィクトリア州だけじゃなくて、〔シドニーのある〕ニューサウスウェールズ州からも声が掛かったりしたよ。

プロとしての最初のバンド、ザ・スウォームの結成はいつ?

A1985年。まだ高校生だったよ。デモを4曲録音したけど、未発表のままだ。

聴いてみたいな!発表する予定はないの?

A無いとも言えない【と意味深な回答】。

活動のメインであるEven(イーヴン)というバンド名の由来は?

A当時仲間内で流行った言葉なんだ。それで、イーヴンと名付けた。もう22年前(1993年)になるね。イーヴンでは、ドラムのマットと二人でデモを6曲作った。ベースも僕がやった。

じゃあ、ベースのWally Kempton(ウォリー・ケンプトン)はいつ加入したの?

A彼は、The Meanies(ザ・ミーニーズ)というバンドでもベースを弾いてるって知ってるよね。あのバンドは、1994年にいったん解散したんだけど、その時イーヴンに加入したんだ。僕とマットで作ったデモを聴いて気に行ってくれたんだ。

【イーヴンとしてのライヴ映像はこちらをクリック:https://www.youtube.com/watch?v=9c6F5E4tCz0

それから?

Aウォリーをベースに迎えてその6曲を録音し直した。それが、Rubber Records(ラバー・レコーズ)と契約した時に発売されたデビューEPの「In Stereo(イン・ステレオ)」なんだ。

なるほど!

AこのEPの「24 Hour Cynic(24アワー・スィニック)」という曲は、Triple J (トリプルJ)というラジオ局で結構かかったよ。でも、今聴き返してみると、出来にはあまり満足していない。洗練されてないように感じるんだ。
その後、初アルバムの「Less Is More(レス・イズ・モア)」を発表した。

去年のクリスマスに、そのアルバムの22周年記念ライヴをやったところだよね。ゲストミュージシャンも参加して、楽しい夜だったよ。

 

写真2イーヴンのライヴ

Even

一番思い入れのあるアルバムはどれ?


Aその「レス・イズ・モア」にも思い入れはあるけど、一枚しか選べないんだったら、2004年発売の四枚目、「Free Kicks(フリー・キックス)」だね。

理由は?

A当時はどこのレコード会社とも契約していなかった時期で、自己負担で制作したから思い入れがあるんだ。それに、僕らの憧れの60年代のイギリスのバンド、The Small Faces(ザ・スモール・フェイセズ)のキーボード奏者、Ian McLagan(イアン・マクラガン)が参加してくれたからね!

そうそう、あのマックが二曲【Going Against The Grain(ゴーイング・アゲインスト・ザ・グレイン)So Good So Far(ソー・グッド・ソー・ファー)】の2曲でキーボードを弾いているよね!どうやって実現したの

AYou Am I(ユー・アム・アイ)のツアーマネージャーをしてたKate Stuart(ケイト・スチュアート)がマックのオーストラリアツアーに関わっていたんだ。だからケイトに、「俺達のレコーディングに参加してもらえないかなぁ?」って連絡を取ったら、マックからOKが出たんだよ!

やったね!

Aで、あの二曲で弾いてもらえることになったんで、既に録音してたやつをボツにした(笑)。そして、マックに合うようにキーを変えて演ってもらったんだ。

あのイーヴンのアルバムに参加したことは、マックの公式サイトの「ディスコグラフィー」のページにちゃんと書かれているよ。【これがそのページ:http://www.ianmclagan.com/discography/

A本当?それは光栄だなぁ!マックはどても良い人だったよ。ギネスビールを持って来て和気あいあいだった。共通の友人Kelvin(ケルヴィン:西オーストラリア州を拠点にするローディー)がその場に居たから、マックも居心地が良かったんじゃないかな。

マックとの録音は一日で仕上げたの?

Aうん、ある日の午後だったよ。イーヴンの三人はほとんどライヴ録りで、マックはライヴ録りとオーバーダブで演ってくれたよ。あのマックが僕達のために目の前で弾いてくれてるなんて夢のようで、帰りに車まで歩きながら「すごいことが実現した!」って気持ちが高ぶってたのを覚えているよ。

ずっと聞きたかったことがあるんだ。あのアルバムの最後は「ソー・ファー・ソー・グッド」だけど、曲の終わりから一分ぐらい無音の部分があって、その後に何か雑談みたいなのが数秒はいってるよね。あれは何なの?

A聞きたい?!西オーストラリア州の田舎町のパブでライヴして、公演後に楽器を車に積んでいる時に、ギターを出して仲間達とジャムってたんだ。そしたら、パブの関係者が外に出てきて「(夜も遅くて近所迷惑になるから)さっさとどっか行ってくれ」って言われたんだけど、その時にうちのベースのウォリーが何か言い返したんだ。で、その時のものを挿入したんだ。ヘッドフォンつけて聞いたてみたらいいよ。

さっきも話に出てきた、デビューEPの「イン・ステレオ」にも、曲名リストに載ってない曲が一曲隠されているよね?

A「Too Dark(トゥー・ダーク)」だね。

話は変わって、Shelly Ritchie(シェリー・リッチー)とのデュオ、The Grapes(ザ・グレイプス)はいつからやってるの?

A1999年。始めたきっかけは、ラバー・レコーズのプロモ用のサンプル盤のために、シェリーと一緒にレコーディングしたんだ。それが楽しかったから、今まで続いている。

ひょんなことからなんだね。

Aうん。それに、シェリーは才能があるシンガーだよ。彼女がヴォーカルを入れる時のやり方とか、とても素晴らしくて学ぶことが多いよ。彼女と一緒にザ・グレイプスをやるときは、楽器も、ギターだけじゃなくてドラムもベースも僕がやって、それも楽しみのひとつだよ。

【ザ・グレイプスのライヴはこちらをクリック:https://www.youtube.com/watch?v=Xd0gBF0IA8s

他にも、The Ronson Hangup(ザ・ロンソン・ハングアップ)というグループでも活動しているけど、自分の中で優先順位ってあるのかな?【こちらをクリック:https://www.youtube.com/watch?v=cNMIjT-9p1c

Aもちろんイーヴンが主なんだけど、どれにも優先順位をつけることはできないよ。それぞれスタイルが違し、僕の役目も違うからね。ザ・グレイプスはシェリー・リッチーとの合同作業だし、ザ・ロンソン・ハングアップはヴォーカルのSteve(スティーヴ)とギタリストのMal(マル)Pinkerton(ピンカートン兄弟)が曲を作っていて、僕はどちらかというとバックで弾くギタリストに徹しているかんじだ。でもどれをやるにしても全力投球だよ。

イーヴンの新作は、いつになりそう?

A録音はだいたい終わってて、今はミックス中だよ。今年中には発表出来ると思っている。

SBSというテレビ局で放送しているRockWiz(ロックイズ =ロックについてのクイズ番組)のバンドでリードギタリストを任されているけど、それはどういった経過でやるようになったの?

Aまず、2009年にゲスト回答者として出演したんだ。そして、ロックイズ・バンドのドラマーのPeter(ピーター)に誘われて、2010年からロックイズのバンドのツアーに参加している。

ロックイズはロックのクイズ番組ということで、演奏する曲も、自分のアイドルのものが多かったりすると思うけど、やっぱり楽しい?

Aもちろん、すごく楽しいよ!ロックイズは、テレビ収録だけじゃなくてツアーにも出るエンターテイメントだし、ロックンロールの名曲の数々を演奏できるわけだからね。

【ロックイズでイーヴンの曲を演奏するアシュリー:https://www.youtube.com/watch?v=h_0YS_yJeNw

そう言えば、去年の12月に行われたロックイズのクリスマスコンサートでは、You Am I(ユー・アム・アイ)のDavey Lane(デイヴィー・レイン)が、The Kinks(ザ・キンクス)のクリスマスソングである、「Father Christmas(ファーザー・クリスマス)」を演奏したらしいね!

Aそうそう、演ったよ!僕は後方から見てたよ。

ザ・キンクスのカバーといえば、イーヴンも「Till The End Of The Day(ティル・ジ・エンド・オブ・ザ・デイ)」を録音してるよね。「Don't Wait(ドント・ウエイト)」のB面曲として。

Aうん。

あなた達のそのカバーは、2002年に、ラジオ局トリプルJが3時間の「ザ・キンクス特集」を放送した時に、かかっていたよ。

A(光栄そうに)本当に?

うん。そして、ユー・アム・アイのドラマーのRusty Hokpinson(ラスティー・ホプキンソン)がインタビューされてて、「自分がザ・キンクスにどれほど影響されているか」を語っていたよ

A1990年代にユー・アム・アイのTim Rogers(ティム・ロジャーズ)とザ・キンクスについて話をしていたら、「The Village Green Preservation Society(ザ・ヴィレッジ・グリーン・プリザベイション・ソサエティ)」はもう聴いたか」ってあのアルバムのことを教えてもらったのを覚えているよ。当時は、まだ初期の、いわゆるヒット曲が入っているアルバムしか聴いたとこがなかったんだ。でも、今考えてみると、「ヴィレッジ・グリーン・~」の中の曲は、どれもシングル曲として発表できるほど素晴らしいよね。

それは、発表当時の時代背景もあると思うんだ。他のロックバンドは、「ラヴ・アンド・ピース」、「セックス・ドラッグ・ロックンロール」を掲げて、若者のヒッピー文化に向けて作品を作っていた。ところが、ザ・キンクスはそれを無視するかのように、昔の同級生を懐かしむ曲とか、動物に囲まれた田舎暮らしの良さについての曲を「ヴィレッジ・グリーン・~」で発表したわけだからね。あまりに流行とかけ離れていたために、商業的な成功とは程遠かったわけけど、発売から40年経った現在は、「名盤」と呼ばれているのが興味深いね。

Aどの曲も凄く喚情的(erocative)だよね。 僕は、あのアルバムの「Johnny Thunder(ジョニー・サンダー)という曲をソロライヴでカバーしたことがあるよ!

本当に!?他にどんな曲をカバーしたことがあるの?

ここでアシュリーがライヴでカバーしたことのあるザ・キンクスの曲をリストにしてくれた。
Johnny Thundr(ジョニー・サンダー)
Vistoria (ヴィクトリア)
Waterloo Sunset(ウォータールー・サンセット)
Starstruck(スター・ストラック)
Dedicated Follolwer Of Fashion(キザな奴)
Lola(ローラ)
You Really Got Me(ユー・リアリー・ガット・ミー)
Sunny Afternoon(サニー・アフタヌーン)
Have A Cuppa Tea(一杯のお茶をどうぞ)

Aあと、King Kong(キング・コング)ってのがとても好きだ。あの曲は、T-Rex(Tレックス)に影響を与えていると思うんだ。ヴォーカルを震えさせているところなんかは、TレックスのMarc Bolan(マーク・ボラン)より先にマーク・ボランしてたように聞こえるよ〔筆者より:故に、マーク・ボランに影響を与えた、という表現になる〕。

 

【ザ・キンクスの「キング・コング」を聴くにはこちらをクリック:https://www.youtube.com/watch?v=rSJDo12ZUjE
1970年以降で好きなアルバムは?

AMuswell Hillbillies(マズウェル・ヒルビリーズ)には、ずーっとハマっているよ。

そうそう、アメリカの人でサンディエゴ在住のキンクスファンの友人に、イーヴンの前作「In Another Time(イン・アナザー・タイム)」をプレゼントしたら、「カッコイイ!」って気に入っていたよ。

Aそれは嬉しいなぁ。君にも、僕達のことを宣伝してくれてありがとう、ってお礼を言わないとね!あのアルバムは特別で、誇りに思っているアルバムなんだ。なんたって、自分でプロデュースしたからね。

デイヴィー・レインブレット・ウルフィーとで始めた60年代の曲のカバーバンド、Thee Marshmallow Overcoat(ジー・マシュマロ・オーヴァーコート)の結成の経緯を教えてよ。

Aあのプロジェクトは、これまた偶然始まったんだ。2014年に、Jim Keays(ジム・キーズ =The Masters' Apprentices(ザ・マスターズ・アプレンティスィズ)のボーカル)が亡くなる直前に行った「多発性骨髄腫チャリティイベント」でのことだった。僕のソロでの出番と、デイヴィーの出番が前後していたんだよ。で、ウルフィーはデイヴィーのバックでドラムを叩くので、デイヴィーに電話して、「どうせなら一緒にやらないか?」って提案したんだ。

ふーん。そんなことから始まったんだ!

A20分の出番で、1960年代のカバーを四曲やったよ。

曲目覚えてる?

AThe Yardbirds(ザ・ヤードバーズ)のShapes Of Things(シェイプス・オヴ・シングズ)、同じくFor Your Love(フォー・ユア・ラヴ)、ザ・ビートルズのRain(レイン)、それから、、、、、、、残りの一曲は今はちょっと思い出せない、、、

そうやって始まったプロジェクトだけど、もう2,3年続いているよね?

Aうん。僕は普段はギタリストだけど、デイヴィーもそうだから、曲によってお互いにベースとギターを持ち替えながらやったりして、楽しいもんだよ。

オーストラリア人大御所シンガーソングライターのPaul Kelly(ポール・ケリー)がツアーに出る時は、彼のバンドのギタリストとして活躍してるけど、あれはいつから?

A彼のツアーバンドのメンバーになって今年で十年目になる。ポールは30年以上のキャリアがあってヒット曲も多いわけなんだけど、オリジナルに充実に演奏するよう心掛けているよ。

最後に、1999年の日本ツアーはどうだった?

Aとても楽しかったよ!でも、日本では何かやり残したことがあるように思っているんだ。だから、また日本でライヴが出来れば、と思っている。マットもウォリーも同じように思っているよ!

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