今日は、日本の楽器ことを取り上げよう。
「こと」の漢字には琴と筝があるが、この記事ではで統一する。

マレーシア出身で、豪州メルボルンで活躍する筝奏者であるBrandon Lee(ブランドン・リー)のインタビューをお届けする。【筆者よりこのインタビューは昨年行われた

ブランドンの箏の音色を聴きながら読んでもらえると嬉しい(和服姿の彼の演奏による「六段の調べ」はこちらをクリック )。
ーーーーーーーーーーーーーー

写真1ブランドンと筆者
Lee1


こんにちは。ブランドンさんはマレーシア出身ですよね?オーストラリアにはいつ来たんですか?

ブランドン(以下Bと略す)19才の時。僕はマレーシア出身ですけど、第一言語は英語です。そして、実は、マレー語よりも日本語の方が得意なんです。

筝という日本の楽器に興味を持ったのはいつですか?

B: 17才の時に、日本のバンド Kagrra(神楽、カグラ)を耳にして筝の音に興味を持ったんです。

では、実際に弾き始めたのはいつですか?

B: 19才でオーストラリアに来て、メルボルン大学に入学した時に、メルボルンでも筝を習うことができると知って始めました。一年間ほど、メルボルン在住のマクイーン時田深山(英語表記はMiyama McQueen-Tokita(ミヤマ・マクイーン・トキタ)先生の元で、週一回習いました。

その後、日本で沢井箏曲院(さわいそうきょくいん)沢井一恵(さわいかずえ)氏に師事するになったきっかけは何だったんですか?

B: メルボルンで筝を始めて一年経ったころ、日本の上智大学に一年間留学したんです。それで東京に住むことになったんですけど、その時マクイーン時田深山先生が、自分の師匠である沢井一恵先生を紹介してくださったんです。

その時すぐに内弟子に?

B: いいえ、あの一年間は、あくまで上智大学への留学でしたから、大学で日本語と言語学を専攻しながら「筝曲(そうきょく)クラブ」に入って、週一回練習していただけです。沢井一恵先生が毎月三回指導してくださいました。

では、いつ内弟子になったのですか?

B: 一年間の留学の後メルボルンに帰ってきてメルボルン大学を卒業してから、すぐに日本に戻りました。今度は、内弟子として箏を学ぶためです。【筆者よりブランドンは2010年から三年半ほど、沢井一恵氏の内弟子として箏を学んだ

内弟子の生活がどのようなものだったのか教えてもらえますか?

B: 内弟子としての生活は、稽古と家事の繰り返しでした。毎日朝九時に起きて、掃除や電話番をすることが日課でした。午後二時からは自由な時間でしたから、私は八時まで自主練習して、その後、先生の箏教室を見学しながら上達に励みました。

その見学する機会はどのぐらいありました?

B: 月に10回ほどでした。見学で教室に入ることによって、他のお弟子さんたちと知り合うことができたのは、良い経験でした。

内弟子になって一年半ほど経った頃に講師になるための試験に合格したんですよね?

B: そうです。2011年に「講師の免状」を取得した試験では、全受験者中二番目の成績を上げることが出来ました。

二番ですか!大会に例えたら準優勝ですね、素晴らしい!
免状を取得した後の活動はどのようなものですか?

B: まず、2013年にメルボルンに帰って来て、モナシュ大学で修士号(音楽専攻)を取得しました。また、免状を取得したといっても、私はまだ勉強すべきことがたくさんありますから、定期的にシドニー在住の小田村さつき先生に指導していただいています。

 

住んでらっしゃるメルボルンでは、教室を開いていたりするんですか?

 

B: はい、そうです。2014年からは箏の個人指導を始めていますし、加えて2015年からはロイヤルメルボルン工科大学(略称RMIT)でメディアコミュニケーションを教えています。

小中学校などから依頼を受けての演奏もしてますよね?

B: はい、2年ほど前からそういった活動もしています。

コンサートなどはどうですか?

B: 日本関係のイベントで演奏することが多いです。これまでに、国内では、オーストラリア北部のブルームの真珠祭りや国立美術館での「クールジャパン」の催しなどで演奏しました。また、海外では、サンフランシスコで行われた沢井一恵先生のコンサートにの出演させていただいたことがあります。沢井先生は今年の五月にもサンフランシスコでコンサートをする予定でして、私ももまたご一緒させて頂けることになっています。

写真2演奏中のブランドン(彼のフェイスブックより。撮影者はAnne Normanさんのようだ。)
Lee2


津軽三味線の只野徳子(だたののりこ)さんや、その相棒のブルースギタリストの上川ジョージさんと共演したことはありますか?

B: 徳子さんとはありますが、ジョージさんとはまだありません。

ご自分のソロライヴなどの予定はあるんでしょうか?

B: 実は、今年の10月22日にソロリサイタルを開くことになっているんですよ。

それは楽しみですね!私も是非観に行きたいです。
ところで、最近日本には行かれましたか?


B: いいえ、数年前に東京の沢井箏曲院の「おさらい会」で演奏して以来、なかなか行く機会がありません。でも、もうそろそろまた行きたいですね!

最後に、これからの目標をお願いします。

B: 二つあります。一つ目は、日本の箏という楽器をもっとたくさんのオーストラリア人に知ってもらうこと。二つ目は、目標と言うより夢ですけど、世界中を箏を演奏して周ってみたいです。

ーーーーーーーーーー
ブランドンの公式サイトはこちら