今回は、メルボルンで引っ張りだこのキーボード奏者、James Fleming(ジェイムス・フレミング)のインタビューをお届けする。

彼が、現在参加しているアーティストは以下の四つ。
1.は自身のバンド、それ以外はバックでキーボードを弾いている。

1.Gumboot (ガムブート)
2.Fraser A. Gorman(フレイザー・A・ゴーマン)
3.Bob Evans(ボブ・エヴァンス)
4.Davey Lane (デイヴィー・レイン)
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写真1:筆者とジェイムス・フレミング
James

こんちには、ジェイムス!今日は時間を取ってくれてありがとう。

ジェイムス(以下Jと略す):こちらこそ、インタビューされて嬉しいよ。

まず、どんなミュージシャンから影響を受けた?

 J: ニュージーランドのDragon(ドラゴン)とSplit Enz(スプリット・エンズ)が好きだった。そのキーボードのPaul Hewson(ポール・ヒューソン)にとても影響を受けているよ。ドラゴンのアルバムでは、1978年発表の「O Zambezi」がお気に入り。

最初にキーボードに接したのいつ?

J: 6才の時、両親が小さいおもちゃみたいなやつを買ってくれたんだ。

どうやって練習したの?誰かに習った?

J: 父がベースを弾いていて、12小節のブルースを教えてくれた。そして、父の影響でJerry Lee Lewis(ジェリー・リー・ルイス)にちょっとハマったんだ。

ジェリー・リー・ルイスの影響はあなたのプレイスタイルに見て取れるね!

J: その他にも、僕は古いラグタイム音楽、例えばホンキー・トンクなんかのテープをたくさん持っていたんだ。ラグタイムを聴くのは好きだったけど演るには難しすぎたんだけどね。だから、12小節のブルースを練習したよ。

それは、まだ小さい時だよね?


J: うん、そう。それから、小学校三年か四年の時に、すごく良い音楽の先生に出会ったんだ!今でも名前を覚えているけど「Kate(ケイト)」という先生だった。僕は楽譜を読むのが苦手だったんだけど、僕のいろいろな質問に答えてくれた先生だった。楽譜が読めないから、ケイト先生が弾くのを見ながら真似して覚えたね。あとは、ジャズの本でコードを練習した。ジャズは複雑だけど、だからこそ良い勉強になったよ。

「ジャズが複雑」と言えば、The Kinks(ザ・キンクス)「Prince Of The Punks(プリンス・オブ・ザ・パンクス)」という曲の中にそんな歌詞があるね。"♫~He couldn't handle modern jazz 'cause it played in difficult keys.~♫"っていう。知ってる?

J: いや、聴いたことがないな。面白そうだから聴いてみたい!

じゃあ、メールでユーチューブのリンクを送るよ。 小学校を卒業後はどうだった?

J: 中学高校では、バンドとかは組まずに、家で独りでピアノを弾いていたね。ほら、田舎だから何もなかったけど、時間だけはいっぱいあったからね。

スポーツはしなかったの?

J: 僕は、スポーツマンじゃなかったね。バイクや車、コンピューター、そして絵を描くことに興味があった。

高校を出てからは、どうやってプロの道に入ったの?


J: 2006年に、大学で工業デザインを学ぶためにメルボルンにやって来たんだ。ちょうど親族の結婚を通じて親戚関係になったJeff(ジェフ)という人がリハーサルスタジオを経営していたから、そこでバイトを始めた。楽器や機材のことなどが学べて良い経験になったよ。で、そのうちにバンドをやりたくなったんだ。

興味があることをやてお金になるなんて、一石二鳥だったね!

J: ある日、バイトしてたら、ハモンドオルガンが聞こえてきたんだ。それでバンドのメンバーに話しかけて、加入することになった。The Sticks(ザ・スティックス)というバンドだった。初めてのライヴは、JET(ジェット)の前座をしたと記憶しているよ。【筆者注これはジェイムスの記憶違いで、後から「ジェットじゃなくて、Eskimo Joe(エスキモー・ジョー)だった!」と連絡があった

  その後、バンド名がKitchen Knife Wife(キッチン・ナイフ・ワイフ)に変わって、今ガムブートで一緒のDave Mudie(デイヴ・ムーディー)がドラマーとして加入してきた。ところで、イギリスのThe Wombats(ザ・ウォンバッツ)というバンドを知ってる?彼等のヨーロッパツアーで前座を務めたんだよ!

ほーっ、それはすごいね!
一つ質問があるんだけど、You AmI(ユー・アム・アイ)のバックで弾いたことがあるよね?ユーチューブで発見したんだけど、アップが出ないから確信が持てなかったんだ。


J: あー、あれね。フットボールの優勝戦中継のエンディングのやつだろ?あれは僕だよ。【その動画はこちらをクリック

やっぱりね!!
あれは
デイヴィー・レインとの接点から実現したのかな?

J: うん!ユー・アム・アイがキーボードが必要な時には、いつもはSteve Hesketh(スティーヴ・ヘスケス)が呼ばれるんだけど、あの時は彼のスケジュールが合わなくて僕が呼ばれたんだ。

スティーヴの髪型とあなたの髪型が似ているから、僕も確信が持てなかったんだ。ところで、デイヴィーとはどうやって知り合ったの?

J: ボブ・エヴァンスを通じて知り合ったんだ。正直言うと、それまでデイヴィーのこと全然知らなかったんだよね。さすがにユー・アム・アイというバンド名は知ってたけど、彼らの音楽はそんなには聴いていなかった。

で、そこからあのテレビ出演となったんだね。


J: そう。出会ってから、デイヴィーのソロ活動、曲の録音やライヴに参加するようになったんだ。数回ライヴをした後に、あのテレビ番組の話がきたんだよ!

じゃあ、現在のバンド、ガムブートについて聞かせてくれる?結成はいつ?

J: Josh Coleman(ジョシュ・コールマン)とは15才の時に学校で知り合った。同じ学校だったんだよ。でもバンドの結成は2011年。二人ともメルボルンの大学に入ってこっちに住み始めたんだ。その頃ジョシュが曲を書き始めて、最初はPre-Acid Beatles(プレ・アスィッド・ビートルズ)という名前で活動を始めた。次に、バンド名をPre-Acid Radio(プレ・アスィッド・レイディオ)に変えた。「アスィッド」という部分が示す通り、当時やってた音楽はもっとエレクトリックだった。そのうちに、ジョシュがもっとガレージっぽいのをやりたいということで、バンド名をガムブートに変えて、今のようなスタイルの音楽をやり始めた。

写真2:ガムブートの三人。
     左から: デイヴ・ムーディー、ジョシュ・コールマン、ジェイムス・フレミング
Gumboot


ユーチューブでいくつか動画を見たよ。デイヴ・ムーディーが加入するまでは、ガムブートになってからも当分の間二人組だったんだよね?

J: そうだよ。デイヴがガムブートに加入したのは2013年。プレ・アスィッドの頃にも楽器を弾いてもらったりしたことがあったけど、正式メンバーになったのは2013年だ。

そういえば、ジョシュのインタビューの時に、「ユーチューブにあるスズキのGP125を題名にした曲でのギターを弾く姿は弾く真似してるだけ」と言っていたけど、あれは本当なの?それとも冗談?

J: 本当だよ!だってギター弾けないもん(笑)。弾いているのはジョシュ。【その動画はこちらをクリック

今年発売されたEPアルバム「Cut Off Jeans(カット・オフ・ジーンズ)」について話してよ。

J: 曲はすべてジョシュの作詞作曲。デイヴ・ムーディーのスタジオ「Palm Stamp(パーム・スタンプ)」で録音して、曲のミックスはデイヴィー・レインがやってくれた。デイヴィーは自分のギターも少し加えてくれたよ。【タイトル曲のライヴ映像はこちらをクリック

アルバムのジャケットのデザインは?


J: スケボーしている男だね。本当は自分達がやっている写真を使いたかったんだけど、メンバーの誰もスケボーがうまくなかった(笑)。だから、ネットで見つけた写真を元にして、フォトショップで加工したりして完成させたんだ。

じゃあ、デイヴィー・レインのバンドでのことについて話して貰える?

J: デイヴィーと一緒にプレイするのは最高だよ!彼は、本当にプロフェッショナルで、フレンドリーで心遣いのできる人物だ。それにソングライターとしても一流だと思う。彼の曲が大好きだし、人としても素晴らしい。


写真3:左端がジェイムス。真ん中がデイヴィー・レイン。
Davey James


フレイザー・A・ゴーマンのバンドに加入したいきさつは?

J:  最初は、彼のアコースティックライヴを2,3回観に行ったんだよね。それで、多分フレイザーは僕がキーボードを弾くって誰かに聞いたんじゃないのかな?話をし始めて、それで彼のバンドでキーボードを弾いてくれって頼まれたんだ。

彼と一緒に演奏するのはどう?

J: フレイザーはとても陽気な性格の持ち主で、一緒にいて楽しい。彼の音楽も大好きだし、彼のライヴはいつも最高だしね!

そういえば、2015年10月から11月に行われたフレイザーのアメリカ・ヨーロッパツアーでは、キーボードじゃなくベーシストとして参加してたよね?あれはどうしてベースを弾くことになったの?


J: あー、あれね。いつもは、Jarrod Brown(ジャロッド・ブラウン)がベースなんだけど、彼は学校の先生でもあるんだ。それで、休みが取れなくてツアーに同行できなかったんだ。少し話は戻るけど、その前の海外ツアーは、予算の関係で三人(フレイザー、ベーシスト、ドラマー)だけ、つまりキーボードの僕は行けなかったんだ。今回も三人だけだったんだけど、フレイザーに「ジャロッドが来れないから、ベーシストとしてツアーに参加してくれ」と言われたんだ。僕も家で密かにベースの練習してたから(笑)、そのオファーを受けることにしたんだよ。

写真4:フレイザーのニューヨーク公演。右端のベースがジェイムス
    (写真提供は、ニューヨークの情報誌「よみタイム」の河野洋氏)
Fraser NY


アメリカ・ヨーロッパツアーでの観客の反応はどうだった?

J: フレイザーがあっちでツアーするのは二回目だったし、デビューアルバムの「Slow Gum(スロー・ガム)」も、アメリカとヨーロッパで発売されていたから、観客の反応は良かったよ!

去年3月のMilk! Records(ミルクレコーズ)
のツアーでは、フレイザーのバンドのキーボードとして参加してて、Courtney Barnett(コートニー・バーネット)など他のアーティストの出番でもそのままステージに残って共演してたね。

J: うん、フレイザーとの出番の他に、他のアーティストの出番でも弾いてくれ、と頼まれたのは凄く光栄なことだった。でも、East Brunswick All-Girls Choir(イースト・ブランズウィック・オールガールズ・クワイアー)の出番だったと思うけど、彼らはステージに出てこない僕を数分間待っててくれたんだけど、僕は観客席に友達を見つけて話し込んでいてすっかり忘れてしまった時もあったよ(笑)。

コートニーの曲でも弾いたよね?


J: 彼女のバンドの一員として演奏するのは、素晴らしい経験だった。
特に、コートニーのDead Fox(デッド・フォックス)という曲を彼女と一緒に演奏したのが印象に残っている。

写真5:これは昨年12月のミルクレコーズのクリスマスイベントでの一枚。
    デッド・フォックスを演奏している。
    左から: ジェイムス、コートニー、フレイザー、デイヴ・ムーディー、ボーンズ・スロウン
Milk

    
あのミルクレコーズのツアーは、バスでオーストラリア中を回ったんだよね?

J: そうそう、バスを貸し切ってね。自分達で機材の上げ下ろしやセッティングもして、修学旅行みたいで楽しかったよ!

そう言えば、コートニーがガムブートのTシャツのデザインをしてるよね?

J:  僕らのベースのデイヴ・ムーディーがコートニーのドラマーだから、その縁で彼女がデザインしてくれたんだ。【このTシャツについての記事はこちらをクリック

ところで、The Kinks(ザ・キンクス)で好きな曲は何?


J: 僕は、60年代のキンクスを知っている程度だけど、一番好きな曲はWaterloo Sunset(ウォータールー・サンセット)だね。とても好きな曲で、僕の中のランキングで上位に入るほど気に入っているよ。【1:50より演奏される。こちらをクリック

その曲なら、スタジオ盤と違ってピアノをフィーチャーしたライヴもカッコイイよ。今度聴いてみて!

最後に、ガムブートとしてのこれからの予定は?

J: 四曲入りの新譜を出すよ。もうレコーディングしている。

それは、楽しみだね。発売が待ち遠しいな!
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