George Kamikawa (上川ジョージ)& Noriko Tadano(只野徳子)

本日は、オーストラリアで活動している「ジャパニーズ・ブルース・カウボーイ」こと上川ジョージさんと、津軽三味線奏者の只野徳子さんのインタビューです。

写真左から:上川ジョージ、筆者、只野徳子

Interview


‐こんにちは。まず、日本での出身地を教えて下さい。

George(ジョージ、以下Gと略):三重県です。

Noriko(のりこ、以下Nと略):私は千葉県です。

‐音楽と初めて接したのは何歳の時ですか。

G: 小学校四年生の時に、父の影響でThe Beatles(ザ・ビートルズ)を聴きました。初めて人前で演奏したのは「Stand By Me(スタンド・バイ・ミー)」でした。

‐スタンド・バイ・ミーと言えば、ビートルズ解散後にJohn Lennon(ジョン・レノン)もカバーしてましたね。

T: 私は6歳の時に、福島出身の父親が民謡教室に通い出して三味線を始めたので、その時に私もついて行っているうちに始めました。その後、姉も一緒に始めまして、7〜8年ほど習いました。

-お気に入りのアーティストは誰ですか?

G: 僕はザ・ビートルズThe Rolling Stones (ザ・ローリング・ストーンズ)です。

N: 私は、三味線では上妻宏光(あがつまひろみつ)さんです。洋楽では、Madonna(マドンナ)とかCéline Dion(セリーヌ・ディオン)などが好きです。【ここでジョージさんの突っ込みが入るが、それは省略します。】

-オーストラリアに来たのはいつですか?

G: 私の海外生活は、まず20年ぐらい前にワーキングホリデー(ワーホリ)でニュージーランドに一年ほど住んだことから始まりました。その後日本に帰って半年間バイトして、今度はオーストラリアにワーホリで来て、それからずっとこっちです。

N: 私は2003年に、旅行でシドニーとメルボルンとアデレードを回りました。メルボルンをとても気に入ったので、2004年12月にワーホリで戻って来ました。

-路上演奏(バスキング)し始めたきっかけは何ですか?

G: ニュージーランドで、当時語学学校で一緒だった日本人とやったのが最初です。私がギターで彼がハーモニカで、半年ほどやりました。

N: 私の場合、小学校で日本文化紹介で子供達に三味線を披露したら、彼らの反応が良かったのがきっかけです。そして、バスキングを是非したかったというのもあります。始めた当時は今のようにオーディションはありませんでした。道行く人たちの反応が楽しみでしたね。

-ジョージさん、オーストラリアに来てメルボルンでバスキングを始めたのはいつですか?

G: ニュージーランドの後、メルボルンに来て、最初はギター一本でしたが、アンプをを使い始めたらたくさん人が集まって来るようになりました。

-今のように、足でドラムを叩き始めたのはいつ頃ですか?

G: あれは、「ストンプ・ボックス」と呼ばれる物でして、2003年ぐらいから使っています。で、ファーストアルバムを出したのが2004年です。

-お二人はどういう経緯で知り合ったんですか?

N: オーストラリア人のバスキング仲間から「日本人のすごいギタリストがいるよ。」とよく聞かされていたんですが、会う機会は全然ありませんでした。でも、ある日、アジア人の店でジョージさんを見かけて話しかけたんです。噂では聞いていたけどやっと会えたって感じでした。そして、私はCDを作りたかったので、アルバム発売経験のあるジョージさんにいろいろ質問したんです。そして、ジャムるようになって、意外とブルースと三味線は合うってなったんです。

G: 伝統的な津軽三味線・民謡と雰囲気が合ったんです。

-のりこさんは当時はブルースの知識はあったんですか?

N: いえ、私はブルースについて全然知りませんでしたが、ジョージさんのアドバイスなどもあり、二人で演奏するようになりました。そして2007年に、Melbourne Fringe Festival(メルボルン・フリンジ・フェスティバル)に駆け出しのバスカーとして、二人で出演しました。

G: その後、2008年に、バスカー達の祭典、ヴィクトリア州ハミルトンで行われるMortlake Buskers Festival(モートレイク・バスカーズ・フェスティバル)で優勝しました。

N: あの優勝が自信になりましたね。

G: そして、その賞金でジョージ&のりことしてのアルバム「East West(イースト・ウエスト)」を制作しました。

-そのアルバムは、私のアメリカ人の友人のお気に入りです。彼は私と同じで、
The Kinks(ザ・キンクス)の大ファンなんですけど、その彼が数年前に来豪した時に、お二人のライヴに連れて行きました。すごく気に入って、その場でCDを購入して、確か一緒に写真もお願いした記憶があります。彼には、今でもお二人の近況をよく聞かれますよ。


-ところで、のりこさんは、Spics and Specks(スピックス・アンド・スペックス)という番組でオーストラリアの人気バンドHoodoo Gurus(フードゥー・グルズ)のDave Faulkner(デイヴ・フォークナー)と一緒にChuck Berry(チェック・ベリー)のJohnny B. Goode(ジョニー・B・グッド)を演奏している映像がユーチューブにありますよね。あれは、どうやって実現したんですか?

N: あれは、バスキングしていたら話が来たんです。【ここをクリック

-それに、Blue Mountains Blues Festival(ブリーマウンテン・ブルースフェスティバル)で、お二人がオーストラリア人ブルースマンのChris Wilson(クリス・ウィルソン)と共演した動画も上がってますね

G: あの共演はたまたまです。たまたま僕達があのフェスティバルに出演していて、クリスもたまたまそこにいた、ということです(笑)。【ここをクリック

-2012年のテレビ番組「Australia's Got Talent(オーストラリアズ・ゴット・タレント、以下AGTと略す)」で決勝まで勝ち上がりましたが、あれで結構広く知られたんじゃないですか?


G&N: そうですね。AGTで名前が売れました。【ここをクリック

G&N


-ジョージさんは、最近はバスキングやフェスティバル出演だけだはなく、クルージングの船上でライヴをすることも多いようですが、あれもAGTの影響ですか?

G: はい、そうです。

N: 実は、最初は二人にオファーが来たんですけど、私は子育てがあって長期間家を空けられないので、ジョージさんだけですることになったんです。

-ジョージ&のりことしての最新ニュースはなんでしょうか?

G: セカンドアルバムの録音が終わっています。民謡の二曲(「黒石よされ節」と「秋田音頭」)を除いて、あとはすべて自作曲です。自作曲は、ブルースロック系がほとんどですが、民謡系の曲もあります。〈↓の写真がそのアルバムジャケット。作品名は「Howlin' Sun(ハウリン・サン)」)。CDは日本ツアーで先行発売中。


曲作りや録音はどのようなかんじですか?

N: ブルースロック系の曲をやる時は、ジョージさん主導です。

G: 練り上げていく時は、「ここはこういう風にして」みたいにお願いしています。

N: 技術的なことを話すと、三味線ではGのコードの音が出せないんです。だから、Gがある曲では太鼓を叩いています。

-なるほど!曲によって三味線を太鼓のバチに持ち替えるのにはそういった理由があったんですね!大変興味深いです。

G: ブルース・ロック系の曲はオープンGをよく使っているのですが、僕も、のりこさんの三味線に合うようにオープンGを使用しない曲を作るようになりました。

-新アルバムの中の、お気に入りの曲を教えてください。

G: 僕は一曲目の「Queen of Underground(クイーン・オヴ・アンダーグラウンド)」 と、二曲目の「Yamatsumi No Sato(山津見の里)」を気に入っています。

N: 私も二曲目の「Yamatsumi No Sato(山津見の里)」と、あと五曲目の「Howling Dog Boogie(ハウリング・ドッグ・ブギ―)」 が好きです。

-七月末からの日本への凱旋ツアーで楽しみにしていることは何ですか。

N; 特に八月六日(金)の「三味線かとう」でのライヴですね。同じ三味線奏者の方々から、私達の伝統とモダンの融合に対してどんな反応があるか、とても楽しみです。

G: 六会場すべて楽しみですが、しいて挙げるなら初日の「千代菊酒蔵」ですね。帰りの車の運転を気にせずに飲めるのがイイ(笑)。

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こちらが、凱旋帰国ツアーのポスター。
会場の場所やチケットなどの情報は、この記事の最後に貼ってあるジョージ&のりこのフェイスブックのページなどで確認してください。

Poster


のりこさんは、この日本ツアーの前に、ドイツでも数か所で公演。

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以上、オーストラリアで活躍する和洋折衷スタイルの日本人デュオ、ジョージ&のりこのインタビューでした。

このインタビューの少し前のライヴ後の会話の中で「アメリカ公演が夢」ということを二人から聞いた私は、ニューヨークの情報誌Yomi Time(よみタイム)ウェブサイトはこちらをクリックでコラムを執筆されていて、現地の日本関連のイベントプロデューサーでもある河野洋氏にそのことを話してみた。河野氏はジョージ&のりこの二人に興味が湧いたらしく、このインタビュー前には、スカイプでお互い顔合わせをしていたようだ。二人の夢であるアメリカ公演が実現することを、私は切に願っている。
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