記念すべき第一弾は、やっぱり1960年代デビューのバンドになる。
ちなみに、私が一番好きなオーストラリアのバンドでもある。
その名は、The Masters' Apprentices (ザ・マスターズ・アプレンティシズ)、ファンは略してThe Masters (ザ・マスターズ)と呼ぶ。

初期の表記はThe Master's Apprenticesだったのだが、名前の由来が、
「ハウリン・ウルフやマディー・ウォーターズなどのアメリカのブルースマン達に憧れて始めた音楽、よって彼らを師匠(Masters)とするならば、自分達は弟子(Apprentices)のようなもんだ」ということから、文法的には複数形のMastersのsの後にアポストロフィを付けるのが正しい。
現在では、初期のThe Master's Apprentices、文法的に正しいThe Masters' Apprentices、そしてアポストロフィを付けないThe Masters Apprenticesの三通りの表記の仕方がある。

Friday On My Mindが米英でヒットしたThe Easybeats(イージービーツ)を豪州のビートルズとするならば、マスターズは豪州のストーンズといったことろか。ある日オーストラリア人と会話をしていて、「キンクスなどの60年代英国バンドが好き」と言ったところ、「それならこれを聴け。絶対気に入るはず」と薦められたのがマスターズ。貸してもらったCDの一曲目がデビュー曲の「Undecided」。オープニングのギターにいきなりヤラれた!!Undecidedのユーチューブビデオ

時は流れて2012年の8月下旬。職場で何気なく新聞をめくっていたらコンサートの告知が目に飛び込んできた!

コンサートの新聞広告


嬉しさで小躍りしてすぐに切符を買い、行ってきましたコンサート。行ってみてわかったことは、再結成コンサートではなく、マスターズのメンバーはボーカルのJim Keays(ジム・キーズ)のみで、同年発売のジムのソロアルバム「Dirty Dirty(ダーティー・ダーティー)」【Come See MeやStavationなど、他人の曲のカバーアルバムだが、豪州版ローリングストーン誌において星4つ半を獲得した名盤】でバックを務めた人達とのセッションだということ。そして、ジムは多発性骨髄腫という癌に侵されていて、これはその病気の治療法などを研究する基金への募金活動であり、チャリティコンサートだということ。

全席立ち見(ということは早い者勝ちで良い場所を取れる)だったので、早めに会場に到着。一番乗りだった。開演後、ジムを敬愛する地元のミュージシャン達が次から次へと出てきて演奏。各バンドのメンバーのサイン入りギターやCDといったチャリティーオークションもあり、数時間後にやっとお目当てのジムがステージへ。体調が思わしくなくなんとかステージに上がれたということで、椅子に座っての熱唱。初めてThe Kinks(ザ・キンクス)を観た時と同じ感動があった!ジムのバンドはまずマスターズの曲を5曲演奏。それからジムの体力回復のための休憩をはさみ、今度は最新ソロアルバム「ダーティー・ダーティー」から数曲。(と、ここまで書いて、マスターズ時代の曲と新譜からの曲、どっちを先に演奏したか記憶に自信が無くなってきた)。ま、どちらにせよ、初めて憧れの人のライヴを体験したというので、感動の一夜だった。

終演後、ジムと写真を撮ったりしたくて裏にまわって楽屋口を探したが、見つからず。会場付近をウロウロしていると、ジムの前座で出てきてなかなかカッコイイ曲を演奏していたEven(イーヴン)というバンドのメンバー二人が楽器を抱えて帰宅中。近づいていくと、こちらが声を掛ける前に向こうが私のキンクスのロゴ入りジャケットを目にして、「かっこええの着とるじゃん!」と話しかけてきた。十分ぐらい話してから会場入り口付近に目をやると、今度はジムのバンドのギタリストとベーシストを発見。小走りで移動して、階段を下りていく二人に話しかけると「ジムは具合が良くなく、すぐ帰った」とのこと。残念だが仕方がない。この二人も私のキンクスのジャケットを気に入ったみたいで、向こうから自己紹介してきてくれた。「【キンクスのボーカル兼ソングライターである】Ray Davies (レイ・デイヴィス)のコンサートを観にもうすぐイギリスに行くんだ。席は最前列が取れた。」と伝えると、「マジで~!羨ましい!」という返事。ちなみに、ギタリストには「スターのオーラ」みたいなものがあり、豪州では著名なギタリストに違いないと確信。帰宅してからググってみると、You Am I (ユー・アム・アイ)という人気バンドのリードギタリストのDavey Lane (デイヴィー・レイン)だということが分かった。

EvenとDavey Laneについては、またボチボチ書いていく予定。
今では両者共に私のお気に入りのアーティスト!