動物が空を飛ぶ

  Ⅰ 親子のねずみ

  Ⅱ 烏

  Ⅲ 蛙

  Ⅳ 山鳩

 

          Ⅰ  🐀 親子のねずみ 🐀 🐀 🐀

 

花畑の隅に野鳥の餌場を作った。

そこには毎年いろいろな鳥が姿を現す。

花畑は晴れた日は小鳥たちの鳴き声が可愛い。

小雨の午後

餌場には小鳥はいない

餌はコンクリートの台。その上が微かに動く。

眼を凝らした。

 

 

そこにはねずみがいた。

左に親ねずみ。その横には子ねずみが三匹。

身体と身体をぴったり付けて。

一生懸命餌を食べている。

静かにカメラを持つと静かにベランダの戸に手を掛けた。

 

 

同時にねずみは空を飛んだ。

餌を食べている時も逃げる方に頭を並べていた。

何と頭が良いのか。

察知能力は人間より遥かにまさる。

 

 

津波や地震の時も人間より早く危険な場所から逃げる

命がけで餌を食べに来た。

逃げる方向まで計算していた。

 

真昼の一瞬の出来事。

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         疑うことの知らない愚かな人間は逃げる方向さえ失う。

         それでも生きる方向を違えても騙す人間でない方がいい

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        mori   Ⅱ    烏    mori

腰を曲げておばあちゃんが歩く

 

 

おばあちゃんの背中にカラスが一羽

ゆっくり歩く。カラスは位置をかえる

行く手に蜘蛛の巣 

杖を回す

背中のカラスがくるりと空を回って背中にかえる

仲のいい一人と一羽は何時も一緒

おばあちゃんは三年前樹から落ちた赤ちゃんカラスに餌をやった。

大きくなったカラスの名前は{かぁ助}と言った

おばあちゃんが{かぁ助}と呼ぶ声は聞いた事も無い程の(だみ声)

その声「ガァ助! がぁ がぁ」

カラスの返事も「がぁー・」

おばあちゃんは男だと思って男の名前を付けた

かぁ助は家の樹にも遊びに来る

 

ついでに犬の餌を食べる

餌と言っても飼犬の糞

糞も新しいのが好きらしい

お陰でいつも清潔な家周り

噂に聞いた「おばあちゃんが死んだ」

家の樹に何時もいるのはその為

飼い犬の餌の量を少し増やす

糞の量も増える。

「かぁ助」と呼ぶと「がぁー」と言う

呼ぶ声があのおばあちゃんの声に似ているから返事をするのか

(だみ声)?

 

 

夏になりかぁ助に子供が二羽生まれる

近所の声が煩い「カラスが煩い」「役所に言おう」

樹の葉が秋を知らせた。「明日、捕まえに来る」

「かぁ助 早く山に帰りなさい。明日早く捕まえに来るから」

かぁ助の親子に最後の餌を上げた

 

 

全部で四羽「がぁー」「がぁー」「がぁー」「がぁー」

泣きながら飛んで行った。

                                      Ⅲ・Ⅳは次回