坂の下の家   

 

             新月  白蛇  新月

 

父は次々土地を子供達の学資の為に売却しました。

土地を買った人はすぐに家建て三年も過ぎる頃には大きな街になりました。

あの坂も父が土地を市に寄付し整備してアスファルトになりました。

 

 

バス停留所もでき通勤も楽になると山は削られ家が立ち並び、自家用車も各家に一台は当り前。凄い速さで生活は一変しました。

多額な借金は夫婦共働きが当たり前になり、子供達の生活も変わってきます。

勤めに出た母親は疲れて帰ってきてからの家での仕事、子供の世話。

それは大変な重労働です。纏わり付く子供達。

 

 

子供達は母親の怒りを理解できず、泣いているだけです。

その頃。兄弟が出て行ったので家には両親と私だけになりました。

高校を出るとすぐ勤めに出ると両親も年金生活になりゆったりした

老後だったでしょう。

その頃 母と私は同じ坂の下の美容院へ行っていました。

昼食の後出掛けた今日は、何故か待つ人が多く時間が経つばかり。

帰る頃は暗くなっていました。

靴を履いている時、前の道路を真っ赤なランプを点灯して何台も車が通り過ぎて行きます。

走る方向は自分の家の方。

 

すると走っていた車(パトロール)が坂に止まったのです。

私は急ぎました。

灯りの中に警官が動き回っています。

すると不思議なことがおきました。

 

 

左側の草原から白い蛇が右の縁石迄来て消えたのです。

私は咄嗟に「何があったのですか」と問う。

「ひき逃げです」と言う。

「ひき逃げではありませんよ。懐中電灯ありませんか。ここを照らして下さい。」

 

 

指した縁石が大きく削れていました。

私は続けて言います「自転車に乗っていた? 前輪が外れて身体が

後ろに倒れて頭を打って(脳しんとう)を起したのです」

「材木屋があったと言っていました」

「それはあれです。家を建てる為のあの材木でしょう」

示す方向には材木が積んでありました。

「電話をくれたのは本人ですか。家族ですか。本人に確信して下さい。

坂を下ってスピードを出すぎて、転んで頭を打って失神したのでしょう」

周りに集まっていた一人の警官が電話をしていました。

私はそこから離れ坂を登っていました。

私は坂を登り切って振り向いた時には全部の車はいませんでした。

私は何故白い蛇が見えたかわかりません。

暗い中でコンクリートが割れているのも良く分かったものだと思っていながら、税金の無駄使いをしないで済んだなどとも・・・・。

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パステルあの美容室は馬小屋の建っていた所でしたリボン

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