今年の高校のクラス会の準備は春木君がした。

開催まで大変な時間が掛っただろう。

私は飛行機の都合で二十分遅れて会場に着いた。

入口の受付に、何冊かのパンフレットが置いてあった。

 几帳面な青木君が作ったのだろう。開いて見た。

 挨拶も先生への言葉も会社社長の佐藤の名前で青木君の名前は、

 一番後ろの会費受け取りの名前だけだった。

私は静かに戸を開けた。誰も気付かない。入ってすぐのテーブルに

  御馳走が並べられている。

 何故か向こうのテーブルにだけ人が窮屈そうに座っている。

 手前のテーブルには山田君だけが座っていた。

 「しばらく!」と山田君が言った。そこに座るとビールを継いだ。山田君も私のコップにビールを入れた。

二人で乾杯をした。山田君はなんで一人なのだろう。

その時、仲の良かった女友達が来た。小さい声で

「山田さんは酒乱だからこっちおいで」と言って戻った。

山田君と私は学生時代の事を話した。学生の頃の自分の事等々。

するとまた一人耳打ちに来た。

「俺 去年 飲み過ぎで暴れた。だから…」

「大したことではないですよ。気にしないで」

「俺 酒好きなのに弱いから」

その時コップを持って一人来た。楽しい話題で大笑い。

そして気の付いた時には男子全員こっちのテーブルに移っていた。皆は、大いに笑い、へべれけになるまで呑んだ。皆は酔う。皆は踊る。それにしても応援歌に合わせて踊っているのは少し可笑しい。

「テーブルを運んでこっちで飲もう」

「山田君にお酌して上げて」と言った。その時には女子も全員 山田君のテーブルに移動していた。

そして学生の時から静かな青木君は今も端にいた。

その時だった。「このクラス会を成功させてくれた、準備してくれた

御礼を言おう」と誰かが言った。

「青木ありがとう」と云い肩を組み再会を約束した。

来年は何人集まれるだろうか。   カンパイ🍻