どこの家でも一・二週間に一度は煙突を掃除する。しなければ煙突の中が煤(すす)でふさがりストーブが燃えなくなってしまう。

 

学校から帰ると母さんが一人で(煙突掃除)をしていた。

 普段着に着かえると、外に出してあった煙突に中に掃除の棒を上下して煤を取るのです。

小さい私は長い針金を動かすのが大変でした。

 そんな時、頭の上を大きい虫がぐるぐる飛んでいた。

 煙突を玄関まで運ぶと母さんは驚いて肩に虫が付いていると取ってくれた。

 それが私とゲンゴロウの出会いでした。

 家族の一員になりました。私達は(ゲン)から幸せをもらいました。               

外から帰るとみんなは「ゲン ただいま」と声をかけます。

食事とご飯で煮干しを少しと、草を入れてみました。

ゲンゴロウにしては迷惑な食事だったかもしれません。

引っ越しして家が変わっても、家中を飛んでいました。

家に来てから随分経ちました。

ある日 いつものようにブーン飛んできて、そのまま動かなくなりまた。来た時のように私の肩で息を引き取りました。

ゲンゴロウの寿命は五・六年だそうです。

私のゲンゴロウはそれより二年も長生きしました。