最近、知誠館の生徒の社会科を担当している木下です。
担当していると言っても、生徒たちが教材を使って学習しているところに
「これって〇〇やってんで!知ってた?」
と、自分の好きな歴史の分野のことをしゃべって邪魔してるだけなのですが…。
まぁ冗談(でもない)はさておき
以前ブログに書いた「着地点はどこか?」ということともつながると思うので書いてみます。
この4月から知誠館に通うようになったA君は、覚えるのがすごく苦手。
社会も、そもそも好きではないみたい。
いつも「疲れた…」という口癖を、顔をくしゃくしゃにしながら言ってきます。
学校に戻る気はとりあえずないということだったので、それなら生きていく上で役に立つようなことを覚えたらいいのでは?と考え、まずは都道府県を覚えることを始めました。
北海道や東北など、わかりやすいところはスイスイ覚えていったのですが、その後で立ち止まってしまいました。
まぁかくいう私も、全部覚えているわけではないですし、完璧に覚える必要はないと考えていましたが
「全然覚えられへーん!」と悲しそうな顔をするのは見ていたくありませんでしたし、自信を失くしてしまってはいけないと思いました。
そこで、あの手この手を一緒に考えました。
「形で覚えるほうが得意?」
─うーん…わかりやすいのなら。でもその他は違いがあんまりわからん。
「今日はこの地方だけ覚えてみようか!」
─ここやったらいけそう!
「色塗り分けてみようぜー!」
─塗るのは楽しいな
「こうさ、自分で落書きしてみるのもありかもよ」
─じゃあここは何かタコみたいに見えるしこんなんにしよう!
「福井県は鯖が有名やねんて、青に決定やな」
─じゃあ石川県は?何が有名?
こんなやり取りを何度も繰り返しているうちに、A君は都道府県の名前を大方覚えることができました。
それが自信につながったかどうかはわかりません。
でも私がこだわっていたのは、都道府県の名前を覚えるということではなく、「覚え方」を覚えるということでした。
好きなことなら勝手に覚えるというのもありますし、社会のことを好きになるように教えることができていない自分を棚にあげるつもりはありませんが
何かこう自分の中で「これがあれば/こうすればできる」というものを見つけていくことは必要だと思います。
それを、自分の好きなこと、本当にやりたいことが見つかったときに使えれば
あるいは、それらを探すときに使えればいいのではないでしょうか。
まぁもちろん、この力だけが全てではないと思います。
「着地点はどこか?」つまり「身につけてほしい力は何か?」
ずっと考え続けなければならない問いのように思います。
答えどこにあんねん・・・