小さな子供を持つ母親は、子供の病気や怪我を心配するのは当然だとは思う。
心配のあまり、たいした症状でもないのに救急外来を受診してしまう人も多い。
他の重症患者さんや医療機関からすれば迷惑なのだが、まあそれも止むを得ないところがあるとは思う。
でも…なんかホントに子供を心配していると言うより、「子供をちゃんと見てない」って言われるのが嫌なだけじゃないの?っておかあさん、結構いる。
数日前に怪我をしたお子さん。
よその病院で縫ってガーゼを当ててもらったはいいが、ぶつけてしまい、ガーゼの下に血がにじんで心配だから、来たというお母さん。
確かに血がにじんでいる。しかし既に出血は止っているようで、新たな出血はなさそう。
こういう時、まあ物わかりのいい大人なら傷を確認して、必要ならば再度縫い直すというのもありだ。
しかし、自分で傷をケアできずにぶつけてしまうような子供に、再度縫い直したところでまた同じことになる可能性が高い。縫い直せばまた傷を開かねばならず、子供は再び痛い思いをして、傷の治りも遅くなってしまう。
傷の状態を見たいところではあるが、ガーゼをはずして再度出血したら、これもまた縫い直しになる。
とりあえず数日ガーゼで覆ったままにしておくのがベストだと説明した。
しかしお母さん、なぜか傷をチェックして欲しいと食い下がる。
心配なのは分かるが、子供のためにならないと言っているのに、「心配だから…」を繰り返し、なんとしても開けさせようとする。
いくらなんでもこれは俺でも怒る。子供のために心配しているんじゃなくて、ただ自分の不安感を解消するためだけに子供に負担をかけさせようとしているんだから。
「いい加減にしてください、どうしてお子さんの負担になるようなことを言うんですか?」
そしたらそのお母さん、子供のような不機嫌な顔になって、何も言わずに立ち上がって診察室を出ていった。
「子供をダシに」という言葉があるけど、このお母さんに対してはそういう言葉を思い浮かべた。

