本当に恥ずかしく、そして姑息なやり方が、なんとも私らしい思い出。


「子どもキャンプ」


夏休み、そんなものに親が私と3歳年下の妹を参加させた。


親は、徐々に私たちに社会的協調性を身につけさせるため、
また、知らない子ども同士のふれあい?を体験させようと私たちを
3泊4日くらいの子どもキャンプにぶちこんだのだった。


(きっと私たちがいない間、思う存分えっちを楽しんだに違いない。)


私はおそらく4年生くらいで、妹は1年生くらいだったんだろう。


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当時極度の人見知りだった私は
多分、楽しいこともあったんだろうが
たいていは苦痛であったような気がする。



集団の中でひとりになることがとてもイヤだった私は
集団のメンバーがどういう動きをしているのかどこかで観察していた。


高学年のリーダー格の女子に可愛がられている私と同じ歳の女の子がいた。

私は、そのリーダー格の女の子に好かれていないとうっすら感じていた。


それにしても一人になるのはイヤだ。


リーダー格の女の子と一緒に来ていた女の子がいた。
彼女もリーダー女子と同じ学年なのだが、
ある意味リーダー女子のほうが立場が強いようであった。


リーダー女子はきつめではあるが可愛い顔で
もう一人の女子は、どちらかというとやぼったい感じだった。


私は、そのやぼったい女子にとりいろうと決めた。
なんとしてでも一人でいたくないのだった。

リーダー女子は、私と同じ学年の女の子の世話に夢中で、
リーダー女子の友達のことをそっちのけにしだした2日目あたり、
やぼったい女子は自分が相手にされない嫉妬から、ひっそり涙を流したのである。

私は「チャンス」と思って、親身になってだまって話を聞いた。
「泣き顔、不細工だな」と思っていた記憶を思い出す。

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私は、こうやって集団の中にいるときに
自分がひとりになることに耐えられないので
いつもキョロキョロ、誰かが孤立するタイミングを見ていたりする。

私自体、集団に自ら入っていくことが苦手なので
ひとりになりたいわけじゃないのに
結果ひとりになってしまうことが結構多かったのだ。

それで、同じように孤立している人間を見つけては
しめしめとばかりに近寄っていって、声をかけては
一緒に外から集団を眺めていた。


それは、今でもあまり変わらない。笑。


ある意味、「マイノリティ」といわれるもの?に興味をもつのは
こんなところにもゆえんがあるのかもしれない。


私の場合、ただ、集団の中で一人でいることが耐えられないって、
それだけなんだよね。


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話がそれた。


恥ずかしい夜だった。



子どもキャンプ最終夜。


何事もなく無事終了できるかと思っていた。

何せ、妹の面倒も私が見ることになって、
それなりにしっかりしようと
姉としての意気込みだってあったのだ。
(そうすれば大人から認めてもらえる。ほめてもらえる)


最終夜の宴の最後、

スタッフのお兄さんが全員の前で落し物の連絡をマイクでした。


「白いビニール袋の落し物があります。落とした人は取りに来てください」


誰も取りにいかなかった。


「えーと、いないかな?分からないようなので袋をあけますよ」


白いスーパーのビニール袋をごそごそとあけるお兄さん。


「・・・えーーー、・・・パンツのようです」


私は、パンツ落とすなんてかっこ悪いと、内心落とした人間を笑った。


絶対私じゃないと思って疑わなかった。


落した人が現れない。


「みんな、自分の荷物調べてみてください」

お兄さんが言った。

一瞬、「まさか」とヒヤリとした。
「まさか」というときに限って、なにかしらやらかすことがけっこうあったので
「もしかしたら」と思ったのだ。

予感は的中。
落とした人間は、私だった。


めちゃくちゃ恥ずかしかった。
恥ずかしいというより、がけっぷちに立たされた気分だった。


「バッカじゃん!」って思ったのが自分だったことや
よりにもよって使用済みパンツの入った袋を落としてしまったこと、
あかっぱじのうえに姉として明らかな失敗。
恥ずかしさと自己嫌悪に、私はみんなが見ている中、
パンツを取りにいくことが出来なかった。

「みんなに笑われたくない」
(中学生になると、もはや笑われキャラになることで女子からいじめられない方法を覚えた私だったが
基本的に公衆の面前でバカにされた笑われ方をされることが大嫌いな私だった。今でもそうか。笑)


お兄さんだって、落とした人は今でなくていいから
後でこっそり取りにきてね、とか機転きかせてくれてもいいじゃん。
と、今にしてみると思う。

辺りは「パンツ落としたのだれだよ?」と、落とした人間が誰なのか
確認せずには集会は終わらない雰囲気だった。


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そこで、私は妹に取りにいかせた。


「4年生の私が行くより、1年生の妹のほうが自然だ」と勝手に
正当な判断をしたかのように妹を説得し、強制的に妹に取りにいかせた。

姉としてしっかりしようとやってきた最後に、
一番姉としてよからぬことをした私だった。



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そして、そのことは私の中で
なんとはなしに、ひきずられていた。


恥ずかしかったのと、妹に悪いことしたなということと、
自分の卑怯さに嫌気がさしているのと。

自分の都合で妹を犠牲?にしたのは、これだけじゃなくて
実は他にもあった。
母が友達と喫茶店に行くところを目撃した私は
一緒に遊んでいた妹をほっておいて、
友達がいる手前、私がチョコレートパフェを頼めば母はダメといえず
パフェが食べられるだろうと見込んで母の後を尾行したのであった。

喫茶店に現れた私に母は驚いたものの
案の定パフェにありつけて満足していた。

家に帰ると、置いてかれた妹は、ずっと道路で大泣きしていたらしく
それを見つけた叔父が保護したとのことで
親や叔父や親戚の大人からえっらく怒られたのであった。

「お姉ちゃんなんだから、しっかりしなさい!
妹ほおってパフェに釣られるなんて言語道断!」

なんだかダメ人間の烙印を押されたような気分になったもんだ。

そんなことがあったので、
また妹を裏切ってしまったような気分に
なんだかいたたまれなさを感じつつ。


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成人しても私の癖はなんだかんだ直っていなくて
結局妹を利用することも、ままあったりした。


妹が20歳を越したあたり、
ついにそんなずるい姉にキレた妹は
ノートに「あんな姉死ねばいい!絶対に許せない!」と
ノートに書き付けていたみたいなんだけど。




それはまた別のことか。。。


追記:ちなみについ半年ほど前、子どもキャンプでパンツ落とした袋を取りにいかせてしまい、ごめんなさいと妹に謝ったところ、「そうだよ、恥ずかしかったんだから」と半分怒りながら半分笑って、とりあえず許して?くれた。やっぱり覚えていたか、妹よ。