今年の1月から本格的に着手した翻訳を今日終えました。
これで、オズボーンの本は三冊目です。実は今回の本が原著の出版年としては一番古いものです。
年代的にはこの『入信の秘跡』の次の年1988年に『秘跡総論』、1995年に『「秘跡」のガイドライン』が出版されています。
「秘跡」と言うか「定め」と言うか、或いは「サクラメント」と言うかは別にして、キリスト教の中では洗礼(パプティスマ)と聖体(聖餐、ユーカリスト)はその礼拝の中心にありました。
日本で神学を学ぶものは圧倒的に不利な状況に置かれています。
パレスチナで発生したキリスト教の聖典である新約聖書はギリシャ語で書かれました。その後キリスト教の教えについてさまざまに論じられました。それらは最初ギリシャ教父と呼ばれる人々によって、後にラテン教父と呼ばれる人々によって展開されました。
2000年にわたるキリスト教の歴史の中には多くの分裂や紛争もありました。一番大きな事件はやはり16世紀の宗教改革でした。その後カトリック教会内の改革もありましたが、20世紀半ばの第二ヴァチカン公会議によってカトリック教会の姿勢は大きく変化しました。教会一致運動や解放の神学なども盛んになってきました。
しかし、これらはすべてヨーロッパや南米を中心とした動きでした。神学や教会史だけではなくキリスト教会に関する本はすべてギリシャ語、ラテン語と言った古典語から現代ヨーロッパの言語で記述されています。日本語のものはほとんどないと言っても過言ではありません。
これに対しわがカトリック司祭養成の現場では、古典語のみならず、現代外国語の素養もない人もいます。彼らのために少しでも役に立てればと、学会にも属していない素人の身を顧みずこつこつ翻訳を続けて来ました。
この翻訳では自分自身が大変勉強になりました。また、翻訳に当たって協力して下さった方々のご厚意のおかげだとも感謝しています。
今週、出版社に連絡して原稿を入稿します。