テレビドラマの話で恐縮だが、『伝説の教師』(2000)で松本人志扮する主人公は「人生に意味はない」と言った。だから「今しかできないことをしっかりとやりなさい」と『女王の教室』(2005)で天海祐希扮する主人公は言った。
でも、今しかできないことをしっかりとやるって何のことなのかわからない。
可能な一つの回答がここにある。否、答えなどないという答えか。

学校での火遊びをとがめられ、担任に彫刻刀を突き刺した過去を持ち、今もメンタルクリニックに通う現役教師。
ピアノ演奏が得意だったが、教師の心ない一言で音楽への道を諦めた過去を持つリーマン。
そして自分のこと以外に関心のない生徒たち。登場人物の大半は日常に埋没し、生き生きしていない。
そんな彼ら彼女らが心ない言葉や態度で傷付け、またそれらの応報が繰り返される。
そして傷ついた過去を忘れていた(仕舞い込んでいた)ことを教師とリーマンが自覚し、向こう傷を覚悟して日常に戻る。

事前情報ナシで見た。冒頭の手持ち撮影でカメラ運の良い監督なのかな?と思ったが、計算づくだった。ドラマ製作の経験が浅くない印象を受ける。
誠実で長射程な作品。学園モノの一種だが、大人向けの作品である。娯楽性は低い。
子供がやったらただのケンカやイジメだが、大人がやったら犯罪だという紋切り型があるが、その、ただのケンカやイジメが想像以上に成人後の人生に影を落とし続けるというのも紋切り型なのかも。
問題は大人がそのことに自覚的か否かなのだ。浅ましいやりとりは成長途上にはつきもの、傷つけ合うことはコミュニケーションの部分集合だ、などというのも紋切り型だ。
塾講師時代。心ない一言で教え子を傷つけてしまったことがある。私も子供時代から数え切れない傷を心身に受けてきたのに、その加害者になっていたことに愕然とした。
自らの中にある(もしくはかつて絶対に在った)14歳、それらを正視しチェックする行い。その難度の高さに気づくことなく私も14歳に触れかねない。正視するよう自戒を心がけている。できるか!?(宗教との関係は別の機会に)

本当はここから教育に携わっている方への皮肉へと文章は連なるのだがやめた。そんな暇があったら自分も14歳に接する『覚悟』を決める作業にかからねばならないから。
そして、だからこそこの困難な状況での『おじゃ魔女どれみ』や『まなびストレート!』よりもリアルでライヴな「理想の学園もの」を描くことが望まれる。
え、お前がやれって?
今年のベストテン入りの一本。しかし香川照之は荒らし回ってるなあ。