第一印象:でも仮面ライダーが好きなんだからしかたがない。
本郷猛、一文字隼人、秘密結社ショッカーに拉致され、バッタ(ホッパー)の改造人間にされた。それがたまたまオートバイに乗って、仮面をかぶったライダーと呼ばれただけで、本編中に「仮面ライダー」なるセリフは出てこない。これは気に入った。
ベルトの風車に風を受けると怪人に変身し、仮面を着ける。顎のパーツは仮面内蔵式で装着と同時に出てくるようCG処理してもよかったのでは?
テレビ版とマンガ版とのバランスをとりつつ、頭を悩ませた跡がうかがえるようで実は悩んでいないのかもしれない。過去にここで触れたので。
しかし現代はラチった子供を薬物教育して洗脳し、修了の手始めに自身が生まれ育った故郷を襲わせ、親類縁者を皆殺しにするミッションを実行させられる。アフリカでの実話。
荒唐無稽がリアリティに追いついてしまった現代、風見志郎の復讐譚に感情移入できる観客はどのくらいの割合でいるかが気になる。怪人を野に放って世界を陰で牛耳る秘密結社ショッカーならば物語世界は畢竟広がる。ならばショッカーに改造された政財界の重鎮を暗殺する本郷猛VSガードマンの怪人という構図も成り立つし、元来のロンリーヒーローぶりも際だつことだろう。え?そんな悲惨で暗いハナシ誰が見るんだって?本作のホラーっぽさよりは進歩的だと思うぞ。
もちろん、元々ツッコミ所満載のテレビシリーズを「おれならこうする」を地でいって、与えられた人、物、金、時間で目一杯ハードさに近づける。その結果をああだこうだ批判するのは野暮かもしれない。
クライマックスの階段で1号2号V3がポーズをキメるのも、昭和中期の東映作品群を知っていればしかたないか。何しろ『宇宙からのメッセージ』なるSF仕立ての時代劇作っちゃった過去があるのだから。
それにしてもハードさを演出するなら、せめて最初に連続変死事件捜査の警察を出すべきだ。もちろん、捜査官の中にショッカーの怪人がいるワケで…。
このあたり、『鉄腕バーディー』ではきちんと押さえられているのに、何故できないのだろう?予算を食う設定ではあるまいに。

テレビでの放送をリアルタイムで見た世代がつくったわけだから、本作を見て「おれならこうする」と思った子供が30年後に様々な資材を駆使してさらに原作に近く、また設定やアクションやストーリーに普遍性をもたせた仮面ライダーがつくられることを期待する。イー!(戦闘員の返事)