幕末、貧乏御家人の次男坊別所彦四郎が婿入り先から離縁される。榎本武揚と並び称されるほどの質実才達はどこへやら、持て余す中、ふと手を合わせた祠から現れ出たは貧乏、厄病、死神のお三方だったからさあ大変、元々銭勘定に疎く、病気ごときで生き方が変わらず、死ぬことを恐れぬ。別所家は代々将軍の影武者として仕官してきた。彦四郎は己の生きる道を見出すに至る。
和製クリスマスキャロルの一言惹句で海外へ売り込めると思ったプロデューサーの思惑には辟易するという悪口を考えていたのだが…
やってくれました快作である。流行に乗っただけなどと言うなかれ、時代をここまで取り込んだのはまずそのキャスティングの妙。
貧乏神に田原俊彦、厄病神に日本テレビの土屋敏男プロデューサー、そして死神にダイナマイツな新人女優と、これがニヤニヤせずに見られるかってなもんよ。
小林正樹の『切腹』を彷彿とさせる作品世界に落語講談ノリのシュールなファンタジーを強引に混ぜるとどうなるかなんて悪意以外の何物でもないが、本作はその向こう、侍としての死生観というテーマにきちんと肉薄している。俗にいう異化効果なのだが、その異化が三人の神様との交流によって繰り返され、ラスト上野の合戦場面のモノクロ画面には色彩が乗っている錯覚すら覚える。
観客を置いてきぼりにしないかと少々心配したが、神様との交流が始まった瞬間から目にも艶やかな色彩が展開される。橋本忍や池上金男のホンじゃないよ念のため。
そうでなくても死生観がバラバラの現代にどんなラストに収めるのかが気になったがこの演出ならばと、ま、しょうがねぇか。
和製クリスマスキャロルの一言惹句で海外へ売り込めると思ったプロデューサーの思惑には辟易するという悪口を考えていたのだが…
やってくれました快作である。流行に乗っただけなどと言うなかれ、時代をここまで取り込んだのはまずそのキャスティングの妙。
貧乏神に田原俊彦、厄病神に日本テレビの土屋敏男プロデューサー、そして死神にダイナマイツな新人女優と、これがニヤニヤせずに見られるかってなもんよ。
小林正樹の『切腹』を彷彿とさせる作品世界に落語講談ノリのシュールなファンタジーを強引に混ぜるとどうなるかなんて悪意以外の何物でもないが、本作はその向こう、侍としての死生観というテーマにきちんと肉薄している。俗にいう異化効果なのだが、その異化が三人の神様との交流によって繰り返され、ラスト上野の合戦場面のモノクロ画面には色彩が乗っている錯覚すら覚える。
観客を置いてきぼりにしないかと少々心配したが、神様との交流が始まった瞬間から目にも艶やかな色彩が展開される。橋本忍や池上金男のホンじゃないよ念のため。
そうでなくても死生観がバラバラの現代にどんなラストに収めるのかが気になったがこの演出ならばと、ま、しょうがねぇか。