遅ればせながら、観た。好きな作品。
一人は恋愛願望の強いフリーター。それと職場を同じくする棺がベッドの破滅願望風俗嬢。本命の彼氏に振られるイタイOL。それと同居している、食べては嘔吐を繰り返すイラストレーター。自己完結空回りの二十台半ば女性四人が再生する物語。
とまあ、書いただけでウザく感じてしまったが、実際世の男性には女ってこんなに面倒クサイの?と思われても仕方がない。しかし、ストーリーを文章で略すとそう読めるだけであって、映画を観たあとにはそんな面倒くささは吹っ飛んで四人とも抱きしめてやりたいくらいかわいく思えてしまう。ということは人間を描くのが目的ではない演出が緻密に施されているらしい。
各場面がスリリングで引き込まれる面白さの源はおそらくシナリオにある。
四人のエピソードを貫くアイテムとしてトマト、神様のイラストなどがちりばめられる。タテ軸とヨコ軸が交叉する魅力とも言えようか、生きることに不器用な彼女たちの願望が空転する様がやや引いた視点で語られる。人間を描くのが目的ではない以上、現代の女性像を云々しても仕方がない。
そして、最後の「小さなお祝い」にもカワイイもんだねと鼻白んで歯牙にもかけない人もいるだろう。
もちろん私だって鑑賞後元気になったり、周囲が変わって見えているわけではない。でも、フリーターはそれまで信じていた神様を捨て、風俗嬢は妊娠し、イラストレーターとOLは和解した後は、ちょっとかわった。それで、いい。