夕方になって新宿は思い出横丁で焼き鳥を食ってビールを飲む。狭い店内にラジオが流れていてそれだけでどこか懐かしい気分。
下北沢に着いて久しぶりの町をぶらっと散歩した。日が暮れた町はやっぱり寒い。

水の記憶


入場時間が近づいてスズナリに行くと小さな受付の窓口から本多劇場の舞台で使われていた音楽が聞こえてくる。この辺りから舞台は始まってるよう。ちょっとどきどきする。

水の記憶

運よく席は上手の最前列。整理番号が110番だったので吉と出るか凶と出るかと思っていたら吉に転んだ。
開演。スモークに巻かれる。これはやっぱり前例の醍醐味。役者の唾や水飛沫も飛んでこいとばかり心持ちケツを前にずらす。

水の記憶-秘密の花園チラシ


「日暮里はキャバレーの多い町です」

始まった。かつての緑魔子は高尾祥子に、柄本明は戸辺俊介に。比べずに観ようと思っていたけれど、いい。二人の役者は恐らく稽古の時には意識せずにいられなかったはずなのに、台詞は忠実に再現されていながら舞台が別の匂いを放ってる。二人の芝居がやがて細い線から太い線に変わり舞台も熱を帯びてきて僕らも引き込まれていく。
第二部はいちよともろはが交錯を続けアキヨシの心を振り回す。坂の上の世界と坂の下の裏寂れたアパートを繋いでいた銀輪が舞台を去り、糸が途切れたように窓を叩いていた水が舞台に流れ出す。
過去を振り返るシーンで舞台は終わるが閉じられた舞台には虚実が彷徨うばかり。
なんてドラマチックな・・・。

ここから続編。
舞台が引けて劇場の出口に柄本明さんの姿があり「ありがとうございました」とお客さんに挨拶をしているところ。握手をしてもらい、劇場の階段を降りる。今年は年明けから「身も心も」や「秘密の花園」のDVDで柄本さんをたくさん観た上に今日の舞台だったのでご本人を前になんだか嬉しくなってしまった。
そして下北沢の駅に向かって歩いてるとどうも聞き覚えのある特徴のある声が。
振り返るとそこに唐さんが。びっくり。舞台を観に来てたんだ。連れの方と居酒屋に消えてしまった。
そんな訳でお腹いっぱいの夜。

水の記憶-秘密の花園パンフ


「秘密の花園」2009年1月6日~18日 下北沢ザ・スズナリ
作:唐十郎
演出:角替和枝
出演:戸辺俊介(アキヨシ)高尾祥子(いちよ・もろは)ベンガル(大貫)綾田俊樹(殿)田中洋之助(かじか)上原奈美(千賀)柄本明(中年男)